更新日: 2026/10/6
ファーネス原子吸光法や ICP-OES、ICP-MS などの無機分析法を用いた測定を行う場合、検量線用標準液はサンプルの条件にできるだけ合わせるというのが基本的な考え方になります。
例えば、サンプルの酸濃度が 5%硝酸の場合、検量線用標準液も 5%硝酸で調製することが、基本になります。
これは試薬ブランクを合わせるという意味もありますが、それ以外では酸濃度が感度に影響を与える可能性があるということです。
今回は、ファーネス原子吸光法において酸濃度と、ピークの計算方法によって受ける影響の大きさについてご紹介したいと思います。
下の図は Cr の標準液を硝酸の濃度を変えて測定したものです。
酸濃度によって意外とピークの高さに差があると思われたのではないでしょうか?
これは Cr に限らず、ほとんどの元素において起こる現象です。

もちろん、このようなことを考慮し、検量線用標準液とサンプルは酸濃度を合わせるというのが必須であることは言うまでもありません。
しかし、何かしらの影響で同じ濃度であるにもかかわらず、ピーク高さが異なるというのはファーネス原子吸光法においてはよくあることです。
そこで、ピークの計算方法について着目してみましょう!
下記の図は Fe, Pb, Cu, Cr の 4 元素に関して酸濃度を変えながら測定した場合で、ピーク面積とピーク高さで算出した時を比較したものです。
下記の図の通り、ピーク高さの場合には酸濃度が高くなるにつれ徐々に吸光度が低下していることがわかります。
一方、ピーク面積の場合には 0.2% と比較するとやや減少気味ですが、それ以降はある程度の安定性が得られていることがわかります。

もちろん、ピーク高さでも測定できることも多くあると思いますが、時にはピーク面積を採用することによってより安定した、良好な回収率の得られるデータが得られることもありますので、添加回収率などを考慮し、ピーク高さ及びピーク面積を使い分けると良いでしょう。