更新日: 2026/5/13
ICP 質量分析法(ICP-MS)は超微量分析ができるということは皆さんもご存じだと思います。
しかし、その超微量分析ってどこまで低い濃度が測定できるのでしょうか?
ICP-MS の本当の実力を知るために、今回は超純水中の微量不純物の測定例についてご紹介したいと思います。
超純水の測定なんて簡単に・・・と思われますか?
いいえ、実は超純水中の不純物の測定って、意外と難しいのです。
なぜかというと、超純水を定量するための検量線が超純水ベースになっているからです。
そのため、超純水中の不純物の測定には以下のような方法がとられます。
- 超純水で検量線を作成し、BEC(バックグラウンド相当濃度)、DL(検出下限値)で評価する。
- 超純水で検量線を作成し、濃縮した超純水を測定する。
- その他
一般的には 1 で評価されることが多いと思いますが、この BEC を不純物量として評価する場合には、不純物以外のスペクトル干渉を完全に除去する必要があります。
例えば、56Feを測定する場合、40Ar16Oのスペクトル干渉を除去しなければ、40Ar16Oの分も56FeとしてBECに含まれてしまいます。
今回は超純水製造装置のメーカーであるオルガノ株式会社様にご協力いただき、超純水中の金属不純物の測定例を紹介したいと思います。
オルガノ株式会社様のHP
の中には下記のように技術資料集というコーナーがあります。
会員登録が必要なので、これを機に会員登録してみてはいかがでしょうか?
ICP-MS だけではなく、超純水に関する様々な情報を得ることができるので、私も会員登録しています。
技術資料 : ライブラリ : Lab Salon(ラボサロン)
この中の1つに弊社ICP質量分析装置 NexION 5000 による超純水中の不純物の測定例が掲載されていますので、ぜひご覧ください。
ここでは結果の部分のみ、下記に示します。
この結果を見ると例えば 40Ar を同重体に持つ 40Ca の測定において BEC が 0.03 ppt(0.03 ng/L)であることがわかり、40Ar をほぼ除去していることを示しています。

今回は超純水中の金属不純物の測定例について紹介しました。
超純水以外のサンプルを測定している方も実はこれがベースになっています。
マトリックス濃度が高ければ希釈をする、マトリックスの元素によっては測定対象元素に対してスペクトル干渉が発生するのでコリジョン法やリアクション法などによって除去する、他の m/z を使用する、といったことなどによって起こる感度変化などのファクターがかかることになります。
特にコリジョン法はリアクション法に比べて感度低下が起こりやすいので注意しましょう。
リアクション法が使用できるのであればリアクション法を使った方が低濃度まで測定できる可能性は高いと思います。
そのため、弊社では特に超微量分析が必要な半導体分野などではリアクション法のみでの測定を推奨しています。(例えば純アンモニア、純酸素など)
また、特に B(ホウ素)は、超純水から除去が難しい元素ですが、BEC で、1 ppt 以下という非常に低い値が得られました。これは金属不純物を効率よく除去することが可能であるオルガノ社製ωシリーズと、それを低い検出下限値で精確に測定できた PerkinElmer 社製NexION 5000 の成果と言えます。
なお、今回測定を行った超純水はオルガノ社製ωシリーズから採取したものですが、現在はωⅡシリーズに更新され金属元素全般で 1 桁含有量が減少しているとのことです。
近い将来、ωⅡシリーズの超純水を測定して、更に良いデータを出したいと考えています。
ピューリックωⅡ(オメガⅡ) : 製品ラインアップ : Lab Salon(ラボサロン)
参考までに。