更新日: 2020/12/15
前回のブログでは、トラップサンプラーについてお話ししましたが、トラップサンプラーは、パラメータの最適な条件を見つけて分析することがコツです。今回は、高感度分析を行うための基本についてお話しします。
トラップチューブはどうやって選べばよいの?
トラップサンプラーに使用するトラップチューブは、ピーク形状をシャープにするためカラム接続側を細くしたガラス製チューブに捕集剤をセットしたものです(図1)。
図1 トラップチューブの模式図
トラップチューブの中央に捕集剤が充填されています。捕集剤は、単層(1種類)だけでなく、複層の場合もあります(図1は、2種類の捕集剤が充填されています)。
捕集剤の種類により性質が異なるため、吸着力が強すぎて脱着できなかったり、吸着されずに測定できないという問題が生じることもあります。様々な種類の捕集剤があるため、測定したい成分に合った捕集剤を選択することが重要です。
一般的な捕集剤について、表1に示します。
目的成分の沸点や極性、それに対応した吸着剤の耐熱温度など、総合的に判断してトラップチューブを選択する必要があります。
破過容量ってなんのこと?
トラップチューブは、捕集時やドライパージ中に対象成分が破過しない条件を選択することが重要です。破過容量とは、成分が捕集剤内を通過するのに要した空気量のことで、捕集剤の吸着能力を示します。簡単に言うと、「破過容量=トラップチューブに捕集できる最大サンプリング量」です。
トラップチューブの種類によって、成分の破過容量が異なるため、サンプリング量は目的成分の破過容量以下にとどめなければなりません。
目的成分と不要成分の破過容量を考慮した上でサンプリング量を検討してみてくださいね。
スプリットモードとスプリットレスモードの使い分け
トラップチューブに吸着・捕集された成分を脱着する際の脱着流量は、出口スプリットを開放するスプリットモードおよび出口スプリットを閉じるスプリットレスモードにより異なります。
両モードにおけるピーク形状の違いを図2に示します。
図2 導入モードとピーク形状
スプリットモードではシンメトリーなピーク形状が得られていますが、ピーク強度はスプリットレスモードに劣っています。スプリットレスモードは、ピーク形状はシンメトリーではありませんが、微量な成分を検出する場合に有効です。
さて、今までのブログでお話ししてきたヘッドスペース、トラップサンプラーですが、弊社では両者の装置を用いて水中の VOC を分析したアプリケーションノートを紹介しています。ぜひ、装置のスゴさを確認してみて下さい!アプリケーションのダウンロードについては、弊社までお問い合わせ下さい!
次回は「サーマルデソープションシステム」についてお話ししたいと思います。お楽しみに!