FAQ:ガスクロマトグラフ分析 (GC, GC/MS)

GC

設置環境

Q. 最近オーブンの温度が下がりにくくなったようです。

冷却風取り込み不良が考えられます。GCはオーブンの冷却風を左側面から取り込むので、装置の左側に物を置かないでください。

原理・特徴

Q. 液体オートサンプラー注入でPCからの注入量にならない。

GC単独で注入量設定が正しく行われていれば、PCとGCの通信に問題が有ります。PCを立ち上げなおす、新規サンプルリストの作成等で改善されます。

起動時

Q. GCが制御されません。

通信不良が考えられます。Turbo Massの再起動、または装置を再起動してください。

測定/分析

Q. キャリア圧力が上がらない場合のチェックポイントを教えてください。

セプタム、フェラルの劣化が考えられます。操作マニュアルに従いセプタム、フェラルの交換を行ってください。

Q. ヘッドスペースを使用時ピークが出ません/感度が悪いです。
  1. キャリアガス制御がHSモードに設定されているか確認してください。
  2. ヘッドスペースは圧力制御モードで使用してください。(流量制御モード不可になっております)
  3. ヘッドスペースのヘッド圧力(カラム圧力という表示の場合も有り)は、GC注入口のカラム圧よりも5~7Psi高く設定します。
Q. 農薬分析などスプリットレス分析でブランクがなかなか消えません。どうすればブランク量を減らすことができますか。

ブランク原因(試料は除く)とその対策は次の通りです。

  1. カラムのエージング不足:液相の特性を考慮して十分エージングする。
  2. 注入口インサートの汚れ:インサートを取り出し、洗浄する。
  3. 注入口セプタム:セプタムパージ流量を確認する。
  4. インサート用O-リング:耐熱性で低ブリードのO-リングを用いる。

O-リング材質の違いで大きく異なる例を図1に示します。また、十分にコンディショニングした状態のブランクの例を図2に示します。フタル酸エステルのブランク量を0.1pg以下に押さえることができます。


図1 O-リング材質の違いとブランク


図2 コンディショニングされた状態のフタル酸エステルのブランク量

エラーメッセージ

Q. オートサンプラーにて「No vial at position xx」とエラーが出ます。

バイヤルキャップの高さ、もしくはクリンパーの不良が考えられます。バイヤルキャップの締め直し、クリンパープレスの調整を行ってください。

Q. オートサンプラーにて「Vial Sensor not initializing」とエラーが出ます。

バイアルロケーターの磨り減りが考えられます。バイアルロケーターを確認し必要であれば交換してください。

Q. 「PPC Carrier xx not connected.」のエラーが出ます。

カラムが装置に正しく取り付けられていない可能性があります。分析カラムを注入口より取り外し、注入口に閉塞栓をつけます。この時にエラーが出なければ、カラムの取り付けに問題があります。

Q. 電源投入時「No W/W vial present」とエラーが出ます。

洗浄バイアルセットミスが考えられます。再度洗浄バイアルをセットし再起動してください。

Q. 電源投入時に「Tower not initializing」とエラーが出ます。

再度オートサンプラーの蓋を閉め装置を再起動してください。

Q. 電源投入時に「Syringe error」とエラーが出ます。

シリンジを正しく付け直し装置を再起動してください。

Q. 電源投入時に「Oven Door Open」とエラーが出ます。

オーブンドアを閉め直し装置を再起動してください。

ソフトウェア

Q. タッチパネルの反応位置がずれています。

まず、装置の電源を切ります。タッチパネルに触れたまま、電源を入れます。画面がタッチパネルの校正モードになります。画面の指示に従って操作してください。

その他

Q. Turbochrom/TotalChrom IVMとは何ですか? Turbochrom/TotalChromとはどの様な関係ですか?

500シリーズIVMモジュールはNISTにトレーサブルな基準信号発生装 置です。AD信号電圧の直線性などのチェックに使われクロマトグラフ分析のバリデーション環境をサポートします。使用にあたりTurbochrom/TotalChrom上で動作するソフトウェアが必要になります。

GC/MS

原理・特徴

Q. 有害大気物質の測定をしたいと思っていますが、どのようなシステムが必要でしょうか?

有害大気物質の測定は、あらかじめ吸着剤が充填された管にポンプを使って捕集します。捕集された管を加熱脱着し、GC/MSに導入します。したがって、これらの工程を処理する捕集ポンプ、熱脱理装置、GC/MSが必要です。パーキンエルマーでは、これら一連の装置を販売しておりますので、システマチックにシステムを構築できます。

起動時

Q. 電源が入りません。

AC電源コンセントが抜けているかヒューズが溶断している可能性があります。AC電源確認、ヒューズ交換を行ってください。

Q. ロータリーポンプが動きません。

AC電源コンセントが抜けている可能性があります。AC電源の差し込みを確認してください。

Q. MSが制御されません。

通信不良が発生した可能性があります。装置の再起動をしてください。改善されない場合はTurboMassの再起動も行ってください。

測定/分析

Q. 定量計算ができません。

使用しているプロジェクト内に、標準試料のデータが有る事を確認してください。

Q. ターボポンプが加速しません。
  1. 大きなリークがあります。弊社へご連絡ください。
  2. ポンプコントローラが誤動作しています。弊社へご連絡ください。
Q. フィラメント電流がありません。

フィラメントを交換してください。

Q. ベースラインの変動が顕著です。

温度コントロール不良が考えられます。温度センサーの交換が必要になるので弊社までご連絡ください。

Q. 感度が低いです。
  1. ダブルインジェクションの可能性があります。再度サンプリングを行ってください。
  2. セプタムからのリークが考えられます。セプタム交換を行ってください。
  3. インジェクターからのリークが考えられます。インジェクターフェラル交換を行ってください。
Q. 溶媒テーリングを起こしています。

スプリット設定が分析条件に合っていない可能性があります。スプリットフローを適度に増加させてください。

Q. 高質量側の分解能が低下しています。

プレフィルターが汚れいている可能性があります。プレフィルター洗浄が必要になるので弊社までご連絡ください。

Q. スペクトルが歪みます。

MSメソッドを分析条件に合わせる必要があります。スキャン速度を上げてください。

Q. ピーク幅に一貫性がありません。
  1. チューニングが正しくない可能性があります。再度チューニングしてください。
  2. 電源アースが正しく繋がっていない可能性があります。アース状態を確認してください。
Q. TICが高すぎます。
  1. ソース、トランスファーライン温度を上げ一晩焼き出ししてください。
  2. カラムからの液層ブリーティングが考えられます。カラム交換をしてください。
  3. インジェクターからのリークが考えられます。インジェクターフェラル交換を行ってください。
Q. クロマトグラムにノイズがありません。

マルチプライヤが低い可能性があります。マルチプライヤ電圧を上げてください。

Q. クロマトグラムに過度のノイズがあります。
  1. 電源が正しく取られていない可能性があります。GCとMSの電源が統一されたラインか確認してください。
  2. スレッシュホールドセッティングが正しくない可能性があります。スレッシュホールドを上げてください。
  3. インナーソース洗浄を実施してください。改善されない場合はアウターソース洗浄が必要になります。
Q. 保持時間に一貫性がありません。

セプタムからのリークが考えられます。セプタムを交換してください。

Q. テーリングしています。
  1. ガス流量に関する分析条件が正しくない可能性があります。キャリアガス流量を適切にします。
  2. 温度に関する分析条件が正しくない可能性があります。インジェクター温度を上げてください。
  3. 温度に関する分析条件が正しくない可能性があります。ソース温度を上げてください。
  4. カラムが劣化している可能性があります。カラム交換をしてください。
Q. ピークが広すぎます。
  1. サンプル量が多い可能性があります。試料がカラムに多く入りすぎているので希釈してください。
  2. 温度に関する分析条件が正しくない可能性があります。インジェクター温度を上げてください。
  3. 温度に関する分析条件が正しくない可能性があります。オーブン昇温条件を変更してください。
Q. ピークトップが平らになっています。

マルチプライヤが高すぎる可能性があります。マルチプライヤ電圧を下げてください。

Q. 再現性が不十分です。
  1. ライナーが汚れている可能性があります。インジェクタライナーを交換してください。
  2. フィラメント劣化の可能性があります。フィラメント交換してください。
  3. インナーソース洗浄を実施してください。改善されない場合はアウターソース洗浄が必要になります。
Q. 質量範囲のある部分のスペクトルがありません。
  1. ハードディスク容量不足、またはプロジェクトファイルが大きすぎる可能性があります。不要なファイルを削除するか、新たにプロジェクトファイルを作成してください。
  2. MSメソッドを分析条件に合わせる必要があります。スキャニング速度を調整してください。

メンテナンス

Q. MASS使用時リークが多いときの対処法を教えてください。(28,32の値が高い)

フェラルの劣化が考えられます。トランスファーライン取りつけ部のフェラル交換を行ってください。

Q. MASS使用時Emmission値が高い場合、何が悪いのでしょうか。

操作マニュアルに従ってカラム長さを調整してください。

Q. MASS使用時ロータリーポンプの引きが悪くなってきたようなのですが、原因はありますか。

ご使用期間が2年以上経過しているようでしたら、ポンプのオーバーホールが必要です。定期的にオイル交換していただくと寿命は長くなります。

Q. 感度がだんだん悪くなってきました。原因は何が考えられますか。
  1. 水分を多量に含んだサンプルの可能性があります。水分が少ないサンプルを図って比較してみてください。
  2. ソースの汚れ、もしくはフィラメントの劣化が考えられます。レニウム製フィラメントを使用して、トラップエミッション=100にて分析してください。
Q. チューン画面でAirリークの確認をすると、m/z=4に対してm/z=18,28,32の比率が大きいのですが。原因はありますか。

m/z=4のピークトップが画面のフルスケール内に見えるように、マルチプライヤ電圧を調整してください。フルスケールをオーバーしていると、正確なパーセンテージを表示できません。

Q. オートチューンを実施しても、ピーク形状・バランスが改善できません。
  1. インナーソース洗浄を行ってください。
  2. アウターソース洗浄が必要です。弊社までご連絡ください。
Q. オートチューン実施後のマルチプライヤ電圧が高い(400V以上)です。

インナーソース洗浄を行ってください。

Q. オートチューン実施後のマルチプライヤ電圧が高い(401V以上)です。

アウターソース洗浄が必要です。弊社までご連絡ください。

Q. MassのRefGassが抜けない時があります。

校正ガスの供給を止めてPompOUTしてください。

Q. MSオートチューン画面でピークの頭が割れている。

ソースの洗浄、組み立て、フィラメントの劣化、カラム挿入長の確認をします。

Q. キャリブレーションが通らない。

まずはインナーソースの洗浄、フィラメント交換を行ってください。それでも改善されない場合はアウター洗浄が必要になります。

Q. カラム交換後、低感度になりました。

再度カラムの位置を正しく取り付けてください。

Q. 校正ガスピークがありません。
  1. 校正ガスの残量がない可能性があります。試薬を目視で確認し、必要であれば補充してください。
  2. 校正ガス供給バルブ開閉不良が考えられます。バルブ開閉時、バルブクリック音がするか確認し、弊社までご連絡ください。

ソフトウェア

Q. PCからGCにメソッドが送れなくなりました。
  1. 他のGCメソッドを送ってみます。受信される場合は、転送できなかったメソッドのファイル名が不良/またはファイルの破損が考えられます。
  2. 通信不良が考えられます。PC、GC共に電源を入れ直してください。
Q. チューン画面でAir/RefGas共にピークが見えません。

通信不良が考えられます。ソフトを終了させてから、装置を再起動してください。

Q. PCの電源を切っていた/再起動した後、PCとMSが通信しない。(600MS)

通信不良が考えられます。PCのOS起動後、数分間待ってから、MSのソフトを起動してください。MSとPCが通信を確立するまでに3分程必要となります。

Q. 分析を取消/中止した後、動作が異常です。

通信不良が考えられます。一度PCとGCの電源を切り、30秒くらい待ってから再び起動します。

Q. 分析スタートしても、動作しない/条件が転送されません。
  1. プロジェクトファイルを1GB以下に押さえてください。超えているようなら、新たなプロジェクトを作成してください。
  2. プロジェクトファイルの破損が考えられます。新たなプロジェクトを作成してください。
Q. ソフトが異常動作します/原因不明のエラーが出ます。

プロジェクト、あるいはデータ、メソッド等をコピー/ペースト/移動等していませんか?Windows機能を用いて、ファイルやデータの操作を行わない様にしてください。

Q. PCからメッソッドを送るがGCのキャリア圧が設定値にならない。(HSから液体オートサンプラーに変更後)

コンフィグレーションでの単位設定をPressureまたはFlowの正しいほうに合わせてください。

HS

設置環境

Q. トランスファーラインの温度が安定しません。

トランスファーラインにエアコンや扇風機の風が直接当たっている可能性があります。装置環境を見直してください。

Q. 他メーカーのGCでも使用できますか?

可能です。もちろん測定には何の影響もありません。ただし、取り付けには専用のアダプターを必要とする場合がありますので、GCの機種名をご確認の上、弊社営業本部までご相談ください。

原理・特徴

Q. バイアル瓶に何ml入れて良いのですか。

15mlです。(22mlバイアル)

Q. バイアル瓶は洗って再使用しても良いのですか。

メーカー保証は1回のみの使用です。それ以上はお客様の責任においてご使用ください。

Q. バイアル瓶はどのくらい加圧できるのですか。

バイアルの内圧が約70Psi(500kPa)で、安全のためにベントします。

Q. ブチルゴムセプタムの許容温度を教えてください。

使用温度MAX100℃となっております。

Q. シリコーンセプタムの許容温度を教えてください。

使用温度MAX210℃となっております。

Q. 処理検体数はどれくらいですか?

TurboMatrixHSシリーズは検体数により、それぞれ16,40,110検体の一斉分析が可能です。TurboMatrix40、110はバイアルのオーバーラップ加熱により、分析に要する時間を最小限に短縮できます。また各装置は検体数のアップグレードが可能です。

Q. ZDLとは何ですか?

ZDL(Zero Dilution Liner)はパーキンエルマーのガスクロマトグラフ:AutoSystem XL及びClarusGCシリーズにのみ備えられる、TurboMatrix HSから注入されるサンプル量の希釈を最小限にする注入システムです。
TurboMatrix HSは他社製のGCにも取り付け可能ですが、この機能をそなえているGCはAutoSystemXL及びClarusGCシリーズだけです。

Q. ヘッドスペース(HS)法はどのような分析に利用できますか。

液体試料あるいは固体試料中の揮発成分の分析を目的として、環境、食品、医薬品、工業材料(エマルジョン、ポリマー、複合部品など)などの分野に利用されます。気液平衡あるいは気固平衡が成立する場合は定量を行うことができます。また、固体・複合材料などで平衡が成立しない試料であっても、一定条件下でのアウトガスの分析により、材料研究あるいは品質管理・工程管理に利用されます。
ヘッドスペースサンプラーTurboMatrix HS40は飲料水、環境水中のサブppbからppmオーダーの揮発性有機物(VOC)の分析に多くの実績を持っています。ここでは、トナー中のアウトガス分析の例を示します。MHE法により定量した結果です。


2.Butanol 3.Toluene 5.n-Buthylether 6.Styrene 7.i-Propylbenzene 8.n-Propylbenzene 9.Ethylacetate 10.n-C9 11.Benzylalcohol 12.Acetophenone
トナーのアウトガス

Q. パーキンエルマーの圧力バランス式ヘッドスペースサンプラーは非常に有名です。その特長を教えてください。

HS分析では、試料バイアル内で平衡化した空気相の一部を分離カラムに導入しますが、その際組成比を変えることなくカラムに導入できるサンプリング方法が装置の良否を決めます。サンプリング方法にはシリンジ法、ループ法、圧力バランス法の3法があります。
表に示す比較表からもわかるように、圧力バランス法が最善の方法であることがわかります。圧力バランス法を採用した製品のTurboMatrix HSシリーズはパーキンエルマー独自の装置です。

サンプリング方式 圧力バランス方式 ループ方式 シリンジ方式
メーカー パーキンエルマー A社 B社 C社
総合的評価 ◎高い △中程度 ×低い
サンプル処理能力 ◎高い △中程度 ×低い
精度・信頼性 ◎高い △成分による ×低い
吸着性 ◎ほとんどない △成分によりある ×ある
コンタミネーション ◎少ない(流路が単純) △ある(流路が複雑) ×ある(ガスタイトシリンジに残る)
保守性 ◎簡単 ×面倒 ×面倒
サンプリング量の変更 ◎簡単 ×面倒 △簡単(シリンジのサイズで制限)
定量法 外部標準法 ○可 ○可 ○可
標準添加法 ○可 ○可 ○可
MHE法 ◎簡単 ×難しい ×不可能

測定/分析

Q. ヘッドスペースを使用時、ピークが出ません。チェックポイントを教えてください。

O-リングの劣化、もしくはニードル汚れ、キャピラリ詰まりが考えられます。操作マニュアルに従い該当箇所の洗浄、交換を行ってください。

Q. 感度が悪くなりました。

O-リングの劣化、もしくはニードル汚れ、キャピラリ詰まりが考えられます。操作マニュアルに従い該当箇所の洗浄、交換を行ってください。

Q. GCがキャリアガスに関するエラーを表示します。

O-リングの劣化、もしくはニードル汚れ、キャピラリ詰まりが考えられます。該当箇所の洗浄、交換を行ってください。またGCのスプリットベントの流量をチェックします。

Q. バイアル瓶を認識しません。

バイアル瓶に何かしらの汚れ等が付いている可能性があります。バイアル瓶の肩口にシールを貼ったり、マジックインキなどで記載されている場合は取り除いてください。

Q. バイアル瓶を排出しません。

バイアル瓶に何かしらの汚れ等が付いている可能性があります。バイアル瓶にシール等が貼っているとオーブン内で溶けて、内壁にくっつくことがあります。バイアル瓶にシール等は貼らない様お願い致します。

Q. HS分析で面積値にばらつきが出ます。再現性が悪いです。
  1. 全てのバイアル瓶のキャップが均一に閉まっている事を確認してください。正しく締められたキャップは、指でつまんでも回すことはできません。
  2. 装置分析条件が正しくない可能性があります。分析条件において、サンプルの気液平衡が正しくとれているか再確認してください。
Q. バイアル瓶が割れました。
  1. 再利用している事が考えられます。メーカー保証は1回のみの使用となります。
  2. 純正のバイアル・セプタムセットをお使いでしょうか。純正のバイアル・セプタムはバイアル内圧が70Psi(約500kPa)以上で安全のため自動排気します。
Q. HS動作中に、GCがキャリアエラーを表示する。

動作を目視確認してください。HSがバイアル加圧時にエラーとなるならば、バイアルキャップの緩みの可能性が高いです。

Q. サンプル注入後ニードルが抜けない。

ニードルが緩んでいる可能性があります。操作マニュアルに従いニードルの再取り付けを行ってください。

Q. キャリアー圧が低すぎます。

供給ガスの流量が足りない可能性があります。キャリアーガスボンベを交換します。供給圧を90psi(620kPa)に設定します。

Q. マガジンモーターが停止しました。

電源を一度OFFにし障害物を取り除き、再度電源をONにします。改善されない場合は弊社までご連絡ください。

Q. エレベータモーターが停止しました。

電源を一度OFFにし障害物を取り除き、再度電源をONにします。改善されない場合は弊社までご連絡ください。

Q. オーブンモーターが停止しました。

電源を一度OFFにし障害物を取り除き、再度電源をONにします。改善されない場合は弊社までご連絡ください。

Q. ニードルモーターが停止しました。

電源を一度OFFにし障害物を取り除き、再度電源をONにします。改善されない場合は弊社までご連絡ください。

Q. センサー異常エラーが出ました(ZONE1)

バイヤルオーブン用のゾーン1センサーが不良です。装置故障が考えられますので弊社までご連絡ください。

Q. センサー異常エラーが出ました(ZONE2)

ニードル用のゾーン2センサーが不良です。装置故障が考えられますので弊社までご連絡ください。

Q. センサー異常エラーが出ました(ZONE3)

トランスファーライン用のゾーン3センサーが不良です。電源を1度OFFにし、トランスファーラインの接続コネクタを再度抜き差し、もう一度電源をONにしてください。改善されない場合は装置故障が考えられますので弊社までご連絡ください。

Q. センサー異常エラーが出ました(ZONE4)

クライオフォーカス用ゾーン4センサーが不良です。装置故障が考えられますので弊社までご連絡ください。

Q. バイヤルがありません。

指定したマガジンスロットにバイヤルが入っているか確認してください。

Q. バイヤルロードに失敗しました。

バイヤルキャップが引っ掛かった可能性があります。バイヤルキャップが正しく取り付けられているか確認してください。

Q. バイヤルアンロードに失敗しました。

すでにバイヤルをロードしたポジションにバイヤルを置いた可能性があります。置いたバイヤルを取り除いてください。

Q. マガジンが一杯です。

マガジンスロット全部にバイヤルが乗っている可能性があります。オーブンに残っているバイヤルを排出する動作のため、1バイヤルホールを開けておく必要があります。

Q. オーブン内にバイヤルが詰まっています。

ニードルが緩んでバイヤルから引き出せない可能性があります。ニードルが装置に正しく固定されているか確認してください。

Q. PPCタブで高圧注入の注入圧力が入力できません。

高圧サンプリング使用不可に設定されている可能性があります。オプションタブより高圧サンプリングを使用可にしてください。

Q. タイミングタブでプレ及びクライオフォーカス時間を入力できません。

クライオフォーカス使用不可に設定されている可能性があります。オプションタブよりクライオフォーカスを使用可にしてください。

Q. サイクルタイムはどのように決めるのですか。

GCの分析時間に、オーブンが冷却して再び分析可能となるまでの時間を足した時間を入力してください。(例:分析30分、冷却15分なら、サイクルタイムは45分)

Q. タッチパネルの反応位置がずれています。

装置の電源を切った状態でタッチパネルに触れたまま、電源を入れます。画面がタッチパネルの校正モードになります。画面の指示に従って操作してください。

メンテナンス

Q. リークテストを通りません。
  1. O-リングの劣化が考えられます。操作マニュアルに従いO-リングを交換してください。
  2. ヘッドスペースのニードルパージ流量を測ります。リークテスト中はパージ流量はゼロです。もし流れていれば、装置の修理が必要になりますので弊社までご連絡ください。

ソフトウェア

Q. チェックサムエラーが発生しました。

装置不良の可能性があります。エラーメッセージを記録して弊社までご連絡ください。

Q. ランタブの他のメソッドを選択できません。

プリファレンスのランタブでシングルメソッド設定になっています。シングルメソッド設定を解除してください。

Q. ランタブでメソッドを編集できません。

プリファレンスのランタブでシングルメソッド設定になっています。シングルメソッド設定を解除してください。

Q. 本体のタッチパネルからの操作が可能ですが、PCからの制御は出来るのでしょうか?

Windows環境でシリアルポートを備えたPC上から温度、タイミングなどのパラメータ設定、操作が可能です。

ATD

設置環境

Q. トランスファーラインの温度が安定しません。

トランスファーラインにエアコンや扇風機の風が当たっている可能性があります。装置環境を見直してください。

Q. 他メーカーのGCでも使用できますか?

可能です。もちろん測定には何の影響もありません。ただし、取り付けには専用のアダプターを必要とする場合がありますので、GCの機種名をご確認の上、弊社営業本部までご相談ください。

原理・特徴

Q. サンプリング時のサンプルチューブの向きを教えてください。

純正チューブならば、PerkinElmerのPとかかれた側から試料を導入してください。

Q. 分析時に、サンプルチューブを装置にセットする向きを教えてください。

純正チューブならば、PerkinElmerのPとかかれた側を装置の加熱バルブに向けてセットしてください。

Q. サイクルタイムはどのように決めるのですか。

GCの分析時間に、オーブンが冷却して再び分析可能となるまでの時間を足した時間を入力してください。(例:分析30分、冷却15分なら、サイクルタイムは45分)

Q. TurboMatrix TD, ATDはトラップ管をどういう方法で冷却していますか?

電子冷却方式を採用していますので、液体窒素などの冷媒を使用しなくても、トラップ部は-30℃から50℃まで制御可能です。トラップ管の吸着剤に応じて適切な温度設定が可能になっています。また、冷媒が不要なのでランニングコストに大きなメリットがあります。

Q. 補集チューブのコンディショニング方法について教えて下さい?

TurboMatrixTD、ATDは装置本体のみでのチューブのコンディショニングが可能です。もちろん内部のトラップ管を汚染しません。TurboMatrixTD、ATDは通常分析時には2段階脱着モードに設定しますが、補集チューブのコンディショニン グを行う時にはモードを選択するだけでコンディショニングが可能になります。

Q. 加熱脱着法だとサンプルが熱分解してしまわないでしょうか?

TurboMatrix TD、ATDはまずチューブを脱着位置にシールした段階でリークのテストを行います。これにパスしないチューブは脱着は行われず、カルーセルに戻されます。更に加熱脱着の前段階でチューブ内を1分以上(任意設定可能)パージします。
この機能によって補集チューブ内の吸着剤は保護され、空気や水によるサンプルへの影響は低減されます。

Q. 熱脱着(TD法)はどのような分析に利用されますか。

空気中あるいは固体試料中の揮発成分の分析を目的として、環境、食品、医薬品、工業材料(ポリマー、複合部品など)、電子材料関連などの分野に利用されています。
サーマルデソープション(熱脱着)システムTurboMatrixATDは、環境大気、室内空気汚染、作業環境有機溶剤、排出ガス、クリーンルームなどの空気中のサブppbからppmオーダーの揮発性有機物(VOC)の定量分析に多くの実績を持っています。図では、居住住宅の室内空気汚染物質の測定例です。厚生労働省より指針値の出ている7成分を含む多くの物質が検出されています。


居住住宅の室内空気汚染物質

Q. 空気中の微量揮発性有機物の分析に固相吸着―加熱脱着(チューブ法)が有効とされていますが、その理由は何ですか?

空気中の微量揮発性有機物の分析には、固相吸着-加熱脱着(チューブ法)、 固相吸着-溶媒抽出(溶媒抽出法)、容器採取-加熱脱着(キャニスター法)の3法がありますが、表に示すようにチューブ法が最善の方法であることがわかります。特に、製品TurboMatrix ATD/TDシリーズはパーキンエルマー独自の装置で、2次トラップに液体窒素などの冷媒を使わない、ペルチェ方式(電気で冷やす)であるため、50サンプルの自動分析を行なうことができます。作業環境中の有機溶剤、大気中の揮発性有害物質、土壌ガス分析、室内汚染物質分析、クリーンルームの有機物質などの分析に多く利用されています。

  チューブ法 溶媒抽出法 キャニスター法
対象VOC分析 可(微量分析は困難) 可(微量分析は困難)
低沸点極性成分 微量分析は困難(溶媒と重なる) 成分により難しい(容器表面に吸着)
高沸点成分(フタル酸エステルなど) 可(極微量は不可:ブランク) 可(極微量は不可:ブランク) 不可(容器表面に吸着)
ブランク/コンディショニング チューブの汚染に注意 チューブの汚染に注意 容器の洗浄が不可欠
サンプリング量 調整できる(1~20L) 調整できる(約100L) 一定量(6L)
再分析 不可(対策:二重採取)
再使用 不可
イニシャルコスト
ランニングコスト 小(捕集管は再使用) 大(捕集管は再利用不可) 大(容器は毎回洗浄、運搬)
分析による環境負荷 低い 有害物質CS2を抽出に使用 低い
Q. 空気中のフタル酸エステル(PAEs)分析に固相吸着-加熱脱着法(チューブ法)が有効な理由は何ですか?

フタル酸エステル(PAEs)は沸点が高く、吸着性が高いことから、分析の難しい物質です。
室内汚染、クリーンルームなどの空気中に存在するフタル酸エステルのサンプリング法には、固相吸着-溶媒抽出法、固相吸着-加熱脱着法(チューブ法)および容器採取-加熱脱着法(容器法)などが挙げられます。
溶媒抽出法は、サンプリング・溶媒抽出・GC/MSの各段階において生ずるブランクの問題が大きな障害となることと、採取した試料の1/1000程度しか分析カラムに注入できないことから、低濃度分析が困難です。容器採取法は、PAEsが容器内表面に吸着されやすく、容器からの回収が困難であるため、PAEs分析には向きません。これらの方法に対し、チューブ法が最も有効な方法と言えます。
その理由は、試料空気を直接チューブに採取・濃縮することから、目的の濃度に応じて採取量を調節できることと、採取した試料のほぼ全量を分析カラムに導入できることにあります。クリーンルームなどng以下の極微量を分析する場合では、ブランクの低減に細心の注意を払わなければなりません。
TurboMatrixATD-GC/MSによるPAEsの分析例を図に示します。

Q. 固相吸着-加熱脱着法(チューブ法)を用いた空気中の揮発性有機物(VOCs)分析のサンプリング方法と分析例を挙げてください。

固相吸着-加熱脱着法(チューブ法)は、作業環境、環境大気、土壌汚染、室内汚染、クリーンルームなど、空気中に存在する揮発性有機物の分析に広く利用されています。一般的には、図1に示すように、定流量ポンプを用いて一定時間サンプリングすることにより一定量を採取します。
このとき、例えば有害大気汚染物質の分析では、10mL/分の流速で24時間(14.4L)、室内空気汚染物質の測定では、50mL/分の流速で30分間(1.5L)など、分析目的に応じた条件でサンプリングします。
有機溶剤を使用する作業環境空気の分析では、管理濃度が高いことおよび試料件数が多いことから、図2に示すように100mL程度のシリンジで吸引して採取するのが作業効率を上げる有力な方法です。
図3に、低沸点の極性成分を含む有機溶剤の分析例を示します。土壌ガス分析では、ボーリングした小さい空間のガスをサンプリングしますので、図4に示す拡散(パッシブ)サンプリング法が有効な方法と考えられます。

起動時

Q. タッチパネルの反応位置がずれています。

装置の電源を切った状態で、タッチパネルに触れたまま電源を入れます。画面がタッチパネルの校正モードになります。画面の指示に従ってタッチパネルの再校正をしてください。

測定/分析

Q. Turbo Matrix ATD使用時、チューブが折れる、キャップが外れない、などの症状があります。チェックするポイントがありますか?

サンプルチューブのキャップ緩みが考えられます。キャップをチューブに取りつけた状態で手で強く締めてください。

Q. Turbo Matrix ATD使用時チューブが認識されません。

チューブのキャップの汚れの可能性があります。またはチューブロードポジション下方のセンサー部に汚れが着いている可能性があります。センサー部の汚れを拭き取ってください。

Q. クロマトグラムのリテンションタイムが安定しません。
  1. リークの可能性があります。分析カラムとトランスファーライン(キャピラリ管)の接続部に緩みがないかチェックしてください。
  2. コールドトラップ部が結露、氷結している可能性があります。結露している場合は、ドライヤーなどで十分に乾燥させてください。
Q. 感度が悪くなりました。

リークの可能性があります。分析カラムとトランスファーライン(キャピラリ管)の接続部に緩みがないかチェックしてください。

Q. クロマトグラムのベースラインが極端に高くなった。バックグラウンドが高くなった。

コールドトラップ管の焼き付きが考えられます。焼けている場合は交換が必要になりますので弊社までご連絡ください。

Q. 高沸点成分の感度が悪くなりました。

フィルタディスク汚れ、キャピラリ汚れ、バルブ汚れ等が考えられます。該当部分の交換が必要になりますので弊社までご連絡ください。

Q. トラップ温度(低温側)が安定しないため、装置平衡化のままスタートしない。

分析条件が正しくない可能性があります。一次脱着デソーブ流量と入り口スプリット流量の合計が100mlを超えるとエラーとなるので確認してください。

Q. TurboMatrix TD, ATDで微量の環状ジメチルシロキサン、フタル酸エステルなどを分析するとき、システムブランクが問題になります。どうすればブランク量を減らすことができますか。

ブランク原因には、キャリアーガスおよび配管系、カラム液相、チ ューブ材質、ウール材質、O-リング材質、捕集剤、トラップ剤などが考えられます。これらをコンディショニングすることで微量分析が可能です。その例を図1に示しま す。環状ジメチルシロキサン(D3、D4、D5、D6)各1ng検出後のブランク量をpgオーダーまで落とすことができます。


図1 環状ジメチルシロキサンの微量検出とシステムブランク

エラーメッセージ

Q. 『ニューマチック圧力が低すぎます』エラー表示

供給駆動ガスの圧力が足りない可能性があります。装置駆動用ガス圧の確認をしてください。ボンベ2次圧で0.6Mpa必要です。

メンテナンス

Q. ATD使用時、チューブリークが出る場合のチェック場所を教えてください。

チューブ脱着部のO-リングの劣化が考えられます。操作マニュアルに従いO-リングの交換を行ってください。

Q. リークテストを通りません。

チューブリークテストでのエラーか、トラップリークテストでのエラーかを確認してください。

Q. チューブリークテストを通りません。

フィルターディスク/O-リング不良の可能性があります。一次脱着部のフィルターディスク/O-リングを交換します。移動シール・固定シール双方を確認してください。

Q. トラップリークテストを通りません。
  1. ナットの緩みの可能性があります。トラップ取付部のナットの締まりを確認してください。
  2. トラップ管の不良が考えられます。コールドトラップ管にヒビが入っていないか、割れていないか確認してください。
Q. TuboMatrix チューブリークテストがO-リングの交換をしたがパスできない。

スプリットラインリークの可能性があります。O-リング交換をしてください。改善されない場合は入り口スプリットラインのユニオンからのリークが考えられます。

ソフトウェア

Q. 本体のタッチパネルからの操作が可能ですが、PCからの制御は出来るのでしょうか?

Windows環境でシリアルポートを備えたPC上から温度、タイミングなどのパラメータ設定、操作が可能です。