更新日: 2017/3/7
カラムとは、長細い配管に、充填剤(固定相)が充填されていたり、配管の内壁に液相が塗られている物です。
ガスクロマトグラフィーにおける分離は、試料注入部で気化した試料混合物がキャリアガス(ヘリウムガスなど)により移送されカラム内に入ります。カラム中では試料成分と固定相との相互作用(吸着、分配)により、試料中のあらゆる化合物を分離する場所です。その分離された成分が検出器に到達しピークを検出します。
図1:分離について
カラムは大きく分けて、パックドカラムとキャピラリーカラムに分けられます。
違いは以下の通りです。
図2:キャピラリーカラム
図3:パックドカラム
化合物の分離は長さ、内径、液相(種類、厚さ)、温度、キャリヤーガスの流速、サンプル物性で決まります。
その一例をキャピラリーカラムで解説します。
カラムの内径と分離度(R)は以下のようになります。
内径が細いほど分離は良い結果が得られます。
※分離度(R)が高いほど、化合物の分離が効率よく行われていることになります。
またカラムの長さによっても分離度は異なり、長さが長いほど分離は良くなります。
しかし分析時間も比例して長くなりますので、分析に合わせたカラムを使用する必要があります。
1 成分しか分析しないのであれば、分析時間も長くなってしまうので、長いカラムを選択する必要もないですね。
さらに液相の厚さによっても分離は異なり、膜厚が厚いほど分離はよくなります。
しかしながら、成分によっては 膜厚を厚くすることによりピーク形状が変化します。
たとえば一番前のピークは、3 μmの膜厚が厚いカラムがシャープできれいなピークが得られていて適しています。
それに対し一番後ろのピークは、膜厚の厚いカラムではピークがブロードになり、1 μmのカラムではシャープなピークになっています。
膜厚の薄い1 μmのカラムが適していることがわかります。
また膜厚が厚いカラムでは薄いカラムと比較し、分析時間が長くなります。
このように内径や長さ、膜厚により分離度が異なります。そのため測定対象にあったカラムを選択する必要があります。
ちなみにカラムの接続ですが、ガラス製のパックドカラムは、注入口などに接続する際、カラムの先端が折れないように注意が必要です。
その点、キャピラリーカラムは折れにくく、注入口や検出器に接続するときの操作性はいいですね。
接続の際にキャピラリーカラムの先端を切ることがよくありますが、カラムに対して直角にキャピラリーカッターを動かし切断してください。
カラムが斜めに切れないようにしましょう。
では次回は「ガスクロマトグラフのカラムの固定相の種類と選び方はどうすれば?」になります。