更新日: 2016/6/15
ICP-OESは分析すると必ず測定値を出してきます。これは測定出来ていても出来ていなくても、真値であろうとなかろうと、表示されます。このデータをどう扱うかは分析者に委ねられています。測定値がとても小さいときは、少なくとも検出下限値(または定量下限値)との比較を行い、定量値として扱っても良い数値なのかの確認はしたいところです。
検出下限値や定量下限値は、その装置の感度を推し量る術として有効ではありますが、感度評価だけではなく、測定値が定量値として扱っていいかどうかの判断ツールの1つとして利用するものと考えると良いかなと思います。
100 ppmを定量するときに1 ppbの検出下限値は必要ないですよね。すごく感度のいい測定条件で、高い濃度を測定する、そんな必要性はないのです。最近のICP-OESのソフトは、ボタン1つで検出下限値を自動で実測し算出する機能はついていますが、その測定方法と計算方法は単純なものです。
通常の分析(検量線の測定)と、ブランクを10 回測定するだけです。計算は、
3×ブランク測定時の標準偏差/{(標準液測定強度-ブランク測定強度)/標準液濃度}
で求めることができます。もし検量線測定点よりも低い濃度のサンプル測定を行っている場合は、ぜひ実施し、測定データと検出下限値を併記して結果をまとめましょう。
※検出下限値や定量下限値という概念自体も多く議論されており、いくつか算出方法があります
ICP-OESは検出できていなくても数値が表示されます。
濃度がゼロというのも、マイナス値もありません。
検出できる下限値以上かどうかを示すことが有効です
【2017年1月10日追記】
検出下限値は測定積分時間によって変化します。測定積分時間は、検出下限値や測定安定性に影響を与えます。それについては、第11回:測定積分時間は何秒に設定していますか?を参照してください。