第30回 シリンジのメンテナンスとオートサンプラー使用時の注意点

更新日: 2024/12/4

 日常のメンテナンス箇所は様々ありますが、シリンジのメンテナンスは実施していますか?メンテナンスというと、装置本体に目が行きがちですが、シリンジのメンテナンスを怠ると、コンタミネーション等の不具合が生じることがあります。今回のブログでは、シリンジのメンテナンス方法とオートサンプラー使用時の注意点について、ご紹介したいと思います。

マイクロシリンジのメンテナンス

 日常のメンテナンスでは、「試料をシリンジ内に残さないこと」が最も重要です。洗浄溶媒を吸い上げ、廃液として排出する操作を5回以上は繰り返し、洗浄しましょう。また、洗浄溶媒はこまめに交換し、溶媒の汚染を防ぐようにしてください。
 また、マイクロシリンジを長期間使用していると、バレル(筒)の内部にプランジャーが摩耗して生じる微量の金属くずが蓄積することがあります。この汚れは有機溶媒では洗浄できないことが多く、水で洗浄することにより、除去できる場合がありますので、試してみてください。この時、水を針先から吸い上げるのではなく、プランジャーを引き抜いてバレルの根元側に水滴をたらし、水滴をプランジャーでバレルに入れるようにして洗浄するとよいです。プランジャー表面の汚れは、水を含ませた布やティッシュペーパーでふき取り、その後にアセトンを含ませた布やティッシュペーパーでふき取るようにしましょう。

オートサンプラー使用時の注意点

 オートサンプラーを使用中の場合でも、マイクロシリンジ洗浄の流れは同じです。オートサンプラーによっては、洗浄回数や、溶媒の種類を選択できるものもあります。
 パーキンエルマーのオートサンプラーは、図1に示したように、試料注入前後の溶媒の種類、洗浄回数、洗浄溶媒の量を指定することが可能です。


図1 パーキンエルマーの液体オートサンプラーのシリンジ洗浄設定画面

 

 例えば、試料が水溶液であった場合、測定中は水、測定終了後はアセトンやメタノールで洗浄すると、シリンジが錆びにくくなり、洗浄効果も高まります。

 また、忘れがちな箇所が2か所あります。一つは、シリンジニードルの先端が廃液に触れないようにする(こまめに廃液を捨てる)こと、もう一つは、洗浄溶媒と廃液バイアルのセプタムは、試料が触れている箇所ですので、こまめに交換することです。測定するサンプル点数によって、使用する洗浄溶媒の量や、廃液の量も変わります。塵も積もれば山となる・・・ですので、サンプル点数にも配慮するようにし、毎日交換するようにしましょう。

 次回は、今までのお話からちょっと視点を変えて、HPLCを前処理に使用できるか?についてお話したいと思います。お楽しみに!