更新日: 2026/9/11
前回のブログでは ICP 質量分析法(ICP-MS)における検量線の作成の難しさについて触れました。
特に ICP-MS の場合、超微量分析を行うことができるため、検量線用標準液も低濃度で調製する必要があります。
その際、ピペットの精度や汚染に悩まされている方もいらっしゃると思います。
そこで今回は PekinElmer の ICP-MS である NexION 2200 に自動希釈装置を接続して、測定を行ってみました。
使用した装置は PrepFAST3。自動で検量線の作成やサンプルの希釈などを行うことができます。
今回はその 1 として PrepFAST3 の原理と検量線の直線性について触れたいと思います。

図1. PrepFAST3 の希釈イメージ図
PrepFAST3 の希釈イメージを図 1 に示します。
- 標準原液をバキュームポンプにより吸引し、標準原液をループ①内に充填します。
- 希釈液を充填した左側のシリンジポンプによりループ内の標準原液を押し出します。
- 希釈液を充填した右側のシリンジポンプと希釈倍率に合わせてシリンジのスピードを調整し、次のループ②内に希釈液を充填します。
- ICP-MS のペリスタルティックポンプを用いて、ループ内の希釈液をネブライザーへ導きます。

図2. PrepFAST3 の希釈イメージ図-希釈倍率の変更
PrepFAST3 による希釈倍率の変更方法について図2に示します。
この図のように2つのシリンジ(ループ①の標準原液を押し出すシリンジと、希釈液を導入するシリンジ)の導入スピードの比率によって、1倍から 400 倍まで(オプションにより 1000 倍まで)の希釈が可能となります。
PrepFAST3 の原理は以上のとおりです。
では、実際に検量線を作成してみましょう。
以下の表 1 のような希釈倍率によって希釈を行い、検量線を作成してみました。
表1. 自動希釈による検量線の作成
| 溶液 |
濃度(µg/L) |
希釈倍率(濃度×希釈倍率) |
| ブランク |
0 |
0 |
| 標準液1 |
2.5 |
2.5×1 |
| 標準液2 |
2.5 |
10×4 |
| 標準液3 |
2.5 |
1000×400 |
| 標準液4 |
5 |
10×2 |
| 標準液5 |
5 |
1000×200 |
| 標準液6 |
10 |
10×1 |
| 標準液7 |
10 |
1000×100 |
以上の条件により作成した検量線の結果を図3に示します。

図3. 自動希釈による検量線の作成結果
以上のように希釈倍率の異なる条件でも同様な値を得ることができました。
今回の結果では、最大でも 2 % 以内のバラツキとなりました。
次回は実サンプルの測定例についてご紹介します。
お楽しみに!