更新日: 2026/9/11
ICP装置を長く触っていると、「あれ、この商品っていつの間にか変わったな」ということがよくあります。今回はその中でも地味だけど良い方向に変わった点、ネブライザーのサンプルライン(サンプル吸い上げ側の配管)の接続方法について、昔のやり方と現状を写真付きで振り返ってみます。もちろん、旧来のネブライザーをご利用の方は、この手順を参考に使用してみてください。
昔のサンプルライン:チューブは自分でカットするもの、だった
少し前まで、同軸形ネブライザーのサンプルラインは、ガラス製の末端部分(Meinhard社 製 Type C Part No.00472022 など、下の写真)に、細い PVC チューブを自分で必要な長さに切って差し込むというのが基本のやり方でした。

旧来の Meinhard ガラス製同軸形ネブライザー
まず、PerkinElmer の PVC 製サンプル送液用ポンプチューブ(内径0.76 mm、Part No.09908587)をハサミで適当な長さカットして、ネブライザー末端に挿入します。

このポンプチューブにPFAキャピラリーを挿入します。

これを送液用のポンプチューブに接続します。キャリヤーガスラインを白いロック式クリップで固定、という手順で組み上げていました。

キャリヤーガスラインに抜け防止の固定クリップ(なるべく深めに挿入)
このやり方、正直なところポンプチューブ「切る長さ」「差し込む深さ」に地味にコツが要りました。浅く差すと使っているうちに抜けてしまうため、空きボリュームを減らすためになるべく深く挿入しておいたりしました。いずれ PVC チューブは劣化するため時々交換も必要です。
今のサンプルライン:一体化されたフィッティングを挿すだけ
これが最近のタイプでは、PFA チューブとフィッティングがあらかじめ一体化されたコネクターキットを差し込むだけで完成するようになっています。ポンプチューブのカット作業そのものが基本的に不要です。

旧来の Meinhard ネブライザー向け「4 mm Nebulizer Liquid-End Connector Kit」
写真の N0777414 は、ネブライザー用の液側フィッティングキットで挿入するだけです。この商品が出たときは、便利なものが出た!と思ったものです。

押し込んで固定するタイプのフィッティング(少し液だまりがある)
しかしながら、少し液だまりが出来る部分があり、分析上ではメモリーの不安が残る商品でもあります。最近は、LDV タイプのネブライザー(N0811287 Meinhard Glass Nebulizer K1LDV)が販売されており、これに合う N0811288 Nebulizer Liquid Fitting for Plus Series というフィッティングは、ほとんど隙間なくぴったり収まるタイプが販売されています。

MEINHARD LDV タイプネブライザー用「Nebulizer Liquid Fitting for Plus Series」。
ポンプチューブへの接続もやりやすい。オートサンプラープローブラインへの接続もネジ式で簡単!

ネブライザー自体の液側内径が細くなっており、ほとんど隙間なく収まるフィッティング。
今はこの LDV ネブライザーとフィッティングを標準品として ICP-OES 装置に付属しております。
LDV はおそらく Low Dead Volume(小容量)の略名ですが、Low Delay Volume(低遅延)と私は呼びたいなと思っています(なんとなく呼称のイメージ)。液残りの解消、置換(サンプルーリンス)の速さなどが改善されたネブライザー形状となっています。まさに低遅延タイプ。
また、GlassExpansion 社の SeaSpray や MicroMist など(いわゆる U-Series 系)のネブライザーでは「UniFit」と呼ばれるサンプル側コネクターが使われています。このタイプも LDV です。

挿入するだけでサンプルラインもガスラインも固定できるタイプ

ガスラインも装置にダイレクトに接続できるタイプ
使ってみての雑感
昔のやり方に比べると、今のフィッティング方式は
- チューブを自分でカットする手間がない
- 「どこまで差し込めば良いか」が構造的にある程度決まっている(あたるまで押し込む、など)
- 新人さんへの引き継ぎがしやすい
- LDV タイプは分析上のメリットが大きい(メモリー対策、置換の速さ)
という点で、作業のばらつきが出にくくなった感覚があります。
LDV タイプのネブライザー(Meinhard K1 LDV: N0811287 や、GlassExpantion SeaSpray DC:N0811306 など )は、特に負圧吸引によってサンプルを送液する有機溶媒測定時に有利です。液だまりがないことで、サンプル送液に不安がありません。
各メーカーいろいろと工夫をして改善されてきています。もちろん今回紹介していないネブライザーもたくさんあります。いずれのネブライザーもパーキンエルマーから販売しております。ぜひ次回購入する際には LDV タイプをお選びください。
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