更新日: 2026/7/13
原子吸光法(AAS)は無機分析法の中でも歴史が古く、比較的感度が高い方法の1つと言われています。
特にファーネス原子吸光法は感度が高いため、半導体や環境、材料、食品など様々な分野で使用されています。
基本的には 1 元素ずつの測定になるため、多元素測定が可能な ICP 質量分析法とも比較されますが、Ar ガスの消費量が数10 分の1 程度であることから、ランニングコストが少なく、自動分析にも適している方法として使用頻度の多い装置の 1 つです。
今回はファーネス原子吸光法に関する感度や安定性に関するお話をしたいと思います。
1. ランプ
AASに使用されるランプにはホロカソードランプ(HCL)がよく使用されます。
一方で、特定の元素に関しては無電極放電ランプ(EDL)を使用することもできます。
感度は微増程度ですが、ノイズレベルが非常に小さくなるため、SN 比が上昇します。

2. サンプル採取量および炉内濃縮法
一般的にサンプルの注入量は 20 μL 程度ですが、50 μL 程度まで増加させることができます。
更に 50 μL を注入し、乾燥後、灰化や原子化を行わず、同じサンプルを 50 μL 注入 → 乾燥 → 50 μL 注入と繰り返すことで炉の中でサンプルを濃縮することができます。
10 回程度であれば、ソフト上で自動注入、乾燥を繰り返し行うことができます。

3. グラファイトチューブの選択
使用するグラファイトチューブによっても感度が変化することがあります。
例えば、下記はエンドキャップのあり、なしのグラファイトチューブです。
エンドキャップありの方を使用することで、原子化した成分が炉の中に残りやすくなるため、感度が上昇します。

以上をまとめると以下のようになります。
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感度、安定性 |
コメント |
ランプ
EDLを使用 |
SN比で3~4 倍 |
- 比較的容易で安価にできる。
- ややランプの予備点灯時間が長い。
- 市販されていない元素がある。
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| サンプル採取量および炉内濃縮法 |
~25 倍前後感度上昇 |
- 比較的個人差が出にくい。(自動でできる)
- 時間がかかる。
- マトリックス濃度が高い場合、マトリックス成分も濃縮される。(干渉の原因になる)
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| エンドキャップありグラファイトチューブを選択 |
1.5 倍前後感度上昇 |
- 十字型のグラファイトチューブの場合、エンドキャップ付きを採用することで感度が上昇する。
- ややメモリー効果が高い。(クリーニングが必要)
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