第35回 ICP-MSの導入系はメンテナンスをしない方が良い?

更新日: 2026/3/4

ICP質量分析法(ICP-MS)は超微量分析ができることから、導入系部分を頻繁に洗浄や交換をしなければならないというイメージはないですか?
ここではICP-MSの導入系の洗浄や交換について触れてみたいと思います。
使用される導入系には以下のようなものがあります。

オートサンプラー用サンプルプローブ
ペリスタルティックポンプチューブ
ネブライザー
スプレーチャンバー
トーチ
コーン

これらはどれくらいの頻度で洗浄、交換すればよいのでしょうか?
それぞれについてまとめてみました。

オートサンプラー用サンプルプローブ 測定が終わったら最後に酸を流して洗浄する。(必要に応じてサンプルと同じ酸を用いる。)
ペリスタルティックポンプチューブ サンプルプローブと同時に洗浄する。
1日8時間使用した場合、10日間ほどで、交換することが望ましい。ただし、交換直後(新品)は一部の元素が溶出し、ブランク強度が高くなることがあるため、希硝酸を流して洗浄を行ってから(ブランクが下がったのを確認してから)使用を開始する。
オンライン内標を行うため、2本のチューブを使用している場合、交換は同じタイミングで行う。
必要に応じて、ペリスタルティックポンプを使用しない負圧吸引方式でサンプルを導入する。
ネブライザー サンプルプローブと同時に洗浄する。
スプレーチャンバー ブランクの強度が高いのであれば、装置から外して洗浄する。
表面にまばらに水滴がついているようであれば洗浄する。
トーチ ブランクの強度が高いのであれば、装置から外して洗浄する。
コーン ブランクの強度が高いのであれば、装置から外して洗浄する。
そうでない場合には逆に洗浄しない方が良いことも。
特にコーンは測定するサンプルによって汚染されている方が強度は安定しやすい。
消耗品であるため、コーンが原因で感度が低下することもあるため、必要に応じて新品と交換する。(コーンは複数個を重ねて使用しているが、すべて同じタイミングで交換する。)

可能であれば、トーチやチャンバーは複数所有して入れ替えながら使用するのもよいと思います。
(定期的に入れ替え)

しかし、コーンについてはきれいな方が良いとは限りません。
特にマトリックスの高いサンプルを測定する場合、そのサンプルをしばらく流してからの方が強度は安定することがよくあります。
サンプルがいつも似たようなサンプルの場合には、ブランク強度や感度に注意し、問題ない時には洗浄しなくても(洗浄しない方が)よいこともあります。
もし、コーンを洗浄する場合には 1% 程度の希硝酸につけ置きして、超音波洗浄機を使用して 5 分間洗浄します。
この時、コーンの先端がつぶれないように注意しましょう。
また、長時間つけたままにしておくと溶解してしまうので、洗浄後は速やかに取り出して超純水で洗浄しましょう。
メーカーによって異なるかもしれませんが、紙やすりで磨いてしまうと傷がつくので、避けた方が良いでしょう。