有機溶媒の直接導入 | ICP-OESラボのあれこれ | 無機分析ラボの日々のあれこれ - PerkinElmer Japan

有機溶媒の直接導入

ICP-OESへの有機溶媒100%導入測定のノウハウ
 有機溶媒をICPに入れたらプラズマが消えてしまいました…。そんな経験あるでしょうか?ICP-OESは基本的に水溶液(酸を含む)を測定するために用います。昨今では有機溶媒を直接導入して元素濃度を測定したい、というニーズも多々聞くようになりました。
 つい先日も問い合わせがあり、実際に測定するための道具や装置条件についてお伝えしました。どこのメーカーの装置でも有機溶媒直接測定は可能です。ただやはりフラットプレートプラズマを搭載したOptima 8300はプラズマが強靭で従来よりも有機溶媒導入測定に強いなと感じます。これはゆらぎの少ないプラズマで、プラズマ底面がフラットに生成されていることに起因するようです。溶媒がプラズマへ導入されるときのドーナツ構造の安定度合が格段に違います(下図参照)。

プラズマのベースがフラットであり、サンプルが外周へ逃げることも抑え導入効率は向上し、揺らぎも少なく再現性も向上している。   プラズマ中心に対し上下でプラズマ密度が変わらず、安定性も向上し、感度も良い。

 さて、実際に測定するにはどういう条件にするのが良いか。ICPにおいてプラズマに導入された有機溶媒は燃焼するのではなく、高周波エネルギーによって分解されます。このことはフレーム原子吸光とは大きく異なる点です。有機溶媒を限定された高周波のエネルギーで分解するためには、プラズマ中に導入する量を適正に制御する必要があります。特に低沸点の溶媒はネブライザーで霧化する際に、大部分が気化してしまい、プラズマへの導入量が大きくなりプラズマが維持できなくなります。そういったことをふまえたうえで、装置条件は下記の通りです。

  1. トーチのインジェクター内径を細くする(通常2 mm内径を1 mm前後に)。
  2. キャリヤーガス流量を水系よりも2/3程度に抑える。
  3. プラズマガス流量を多くする(多くすることで消えにくく、サンプルが導入されやすくなります。通常のICPの場合は15 L/minを18 L/minくらいにすると良いでしょう。Optima 8300では8 L/minを10 L/minにします。)。
  4. ポンプチューブを耐溶媒の物に変える、または負圧吸引による導入を行う。
  5. 高周波出力(RF)を高くする。
  6. プラズマへの酸素導入を行う(ススが発生する溶媒の場合)。
  7. 冷却チャンバーを使う(低沸点の溶媒の場合)。

ざっとこのような点を考慮すれば測定できます。コツさえ掴めば簡単です。 より高感度に測定するために、かつ高安定性で測定するにはパラメーターを調整する必要がありますが、話が長くなってしまいましたので、それはまた別の機会に紹介しましょう。

 

 

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