第34回 ICP-MSの感度をもっと高くする方法(その2)

更新日: 2026/1/6

ICP質量分析法(ICP-MS)は無機分析法の中でも最も感度が高い方法の1つと言われています。

前回、そのICP-MSの感度を更に高くするには?ということについて3つ紹介させていただきました。
そこで今回はもう2つICP-MSの感度を高くする方法を紹介したいと思います。

  1. 水素化物発生法

    AsやSeなどの一部の元素は水素化物発生法によって測定することが可能です。
    塩酸などによって前処理を行い、水素化ホウ素ナトリウム溶液と反応させることによって、水素化物のガスを発生させ、プラズマへ導入することで測定することが可能です。
    特にマトリックスが多く、ネブライザー法では希釈しないと測定できないようなサンプルの場合、前処理に問題がなく、無希釈で測定が可能であれば、数10倍以上の感度上昇が期待できます。

  2. 真空システム

    真空ポンプを、ドライポンプなどに変更することで数倍感度が上昇することがあります。

 

  感度上昇 コメント
前処理方法の検討 サンプルの採取量と最終液量による
  • 比較的容易で安価にできる。
  • サンプルが難分解性だと難しい。
  • 酸濃度が高くなることがある。
  • 試薬ブランクが高くなる可能性がある。
  • 金属成分を多く含むサンプルの場合、非スペクトル干渉により測定が難しくなることがある。
  • 乾固する場合、揮散しやすい元素が回収できないことがある。
脱溶媒導入系システム 2~10倍前後
  • 比較的個人差が出にくい?
  • 金属成分を多く含むサンプルの場合、非スペクトル干渉により測定が難しくなることがある。
  • コストがかかる。
DRC 数倍前後
  • 比較的操作は容易にできる。
  • ELAN、NexIONユーザー限定!!!
  • ガスが必要。
水素化物発生法 数10倍以上(サンプルの種類や前処理法による)
  • マトリックスの高いサンプルでも希釈せずに測定できる可能性があるため、希釈率の分だけ、感度が高くなる。
  • スペクトル干渉の影響を受けにくい。
  • コリジョン・リアクション法を使用しなくても測定できる場合もある。
  • マトリックスの種類によっては前処理がうまくできないことがある。
  • 塩酸や水素化ホウ素ナトリウムなどの試薬類が比較的多く必要になる。
  • 気液分離器などのキットが必要になる。
真空システム 数倍前後
  • 一度、設置すればよい。
  • ポンプの費用がかかる。

 

これ以外にもICP-MSの感度を高くする方法があると思いますので、また、皆さんに紹介したいと思います。