試料導入のイロハ~その3・ディスクリミネーションを防ぐオートサンプラーの活用~ | クロマト分析 日々のQ&A - PerkinElmer Japan

試料導入のイロハ~その3・ディスクリミネーションを防ぐオートサンプラーの活用~

 前回のブログではディスクリミネーションとその対策についてお話ししましたが、マイクロシリンジのニードルに由来するディスクリミネーションの対策の一つに、サンドイッチ法をご紹介しました。
 今回は、サンドイッチ法や、オートサンプラーの機能についてもう少し詳しくお話ししたいと思います。

 

サンドイッチ法ってどんな注入方法なの?

 サンドイッチ法と聞くと、何やらおいしそうな感じがしますが(笑)、その名の通り、試料を空気で「サンドイッチ」する方法です。そのほかにも、最初に溶媒を採取し、その後に空気、最後に試料を採取して注入する方法(溶媒フラッシュ法)もあります。このような採取方法により、シリンジ内のディスクリミネーションを防ぐことができます。

 具体的に、PerkinElmer の新製品・GC 2400 のオートサンプラーに搭載されている機能を例に説明します。

 図1 にオートサンプラーのマイクロシリンジの模式図を示します。PerkinElmer のオートサンプラーは、最大 6 層から成る注入を実行できます。あらかじめ 1 から 6 に何を採取するのかをメソッド内で指定して様々な成分をサンドイッチすることが可能です。


図1 オートサンプラーのマイクロシリンジの模式図(サンドイッチ法)

 

 3 を試料としたとき、1+2 は試料の前、4+5 は試料の後にサンドイッチする成分です。

 

内部標準溶液の添加をサンドイッチ法で!?

 より正確な定量結果を得るため、一定量の内部標準溶液をサンプルに添加する「内部標準法」を採用する場合がありますね。ここで耳寄りな情報をひとつ(笑)。PerkinElmer 製の GC 2400 オートサンプラーを使用すれば、内部標準液の添加を自動化できます!面倒な内部標準液の手動添加の必要性を排除することで、作業性を向上させることができます。
 図2 にサンドイッチ法を利用した内部標準添加の設定例を示します。


図2 サンドイッチ法を利用した内部標準添加の設定例

 

 この機能を使用するために、内部標準液の自動添加の精度が高いことは必須の条件です。正確なサンプリング量と相互のクロスコンタミネーションがないことが、信頼できる自動化を保証します。 表1 は、0.2 uL の内部標準溶液の自動添加の再現性結果です。

 

表1 GC 2400 液体オートサンプラーを用いた内部標準溶液(0.2 uL)の自動添加再現性結果

  保持期間 (min) 面積値 (pA・s)
1 9.255 281.8305
2 9.255 280.9897
3 9.255 282.2671
4 9.255 280.2917
5 9.254 283.3783
6 9.254 284.8409
7 9.255 282.2645
8 9.254 285.6172
9 9.255 278.3406
10 9.255 285.6109
平均値 9.255 282.5431
SD 0.001 2.3721
%RSD 0.006 0.8396

 

 このように、GC 2400 の液体オートサンプラーは、溶液調製時における作業の負担を軽減し、分析効率を向上させることができます。

 

 次のブログでは、注入方法の種類とその選択方法についてお話しします。お楽しみに!!

 

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