試料導入のイロハ~その1・インサートの選び方~ | クロマト分析 日々のQ&A - PerkinElmer Japan

試料導入のイロハ~その1・インサートの選び方~

 試料導入時に注入口に取りつける「インサート」。インサートの種類が色々あって、何を選べばよいか、わからなくなりますよね。
 今回のブログでは、試料導入のイロハ・その1としてインサートの選び方についてご紹介します。

 

インサートの種類とその使い分け

インサートには、様々な種類・デザインがあります。図1に PerkinElmer 製インサートの例を示します。

図1 PerkinElmer 製 注入口インサートの例
A
ストレートライナー
B
シングルテーパーライナー
C
ウール入りライナー
D
フォーカスライナー
E
テーパーフォーカスライナー

 

【各種インサートの特徴】

  • A:安価で汎用的な直管のライナーです。スプリットレス用は、スプリット用に比べて内径が細くなっています。
  • B:テーパーを上部にセットした場合は、サンプル気化時のオーバーフローを抑制します。下部にセットした場合は、サンプルが気化した時に注入口内の金属パーツに接触することを防ぎます。
  • C:ウールにより気化効率を高め、再現性が向上します。ウールには不揮発性分がたまりやすくなるため、注意が必要です。
  • D:ウール入りのライナーで、さらに再現性を高めるためにウールの上下にテーパーを入れてウールの上下移動を防止する構造になっています。
  • E:テーパーライナーとフォーカスライナーが一体化した構造になっています。

通常のスプリット分析では、フォーカスライナー、スプリットレス分析ではテーパーフォーカスライナー、ヘッドスペースやガス分析などでは、ストレートライナーを選択することが多いです。

 

インサートはいつまで使える?

インサートは消耗品ですので、交換作業が必要です。では、その交換の目安はどの程度でしょうか。
ライナーの交換時期の目安として、以下の5点が挙げられます。

  1. 再現性や感度の低下
  2. ピークの消失
  3. テーリングピークの出現
  4. ゴーストピークの出現
  5. 既定の注入回数に達した時

上記1~4は、ライナーの不活性度の低下や、汚れの付着により、発生する可能性のある現象です。サンプルに含まれるマトリックスによっても異なりますので、余裕を持った交換を実施するようにして下さいね。

 

インサートを正しく交換しよう!

不活性処理されたライナーは、その交換方法も重要です。

【インサートの交換方法】

  1. 注入口温度を下げ、ライナー交換を行う
  2. キャリアガスでパージを十分に行う(ここがポイント!!)
  3. 注入口温度を上げる

ここでのポイントは、ライナー交換後、温度を上げる前にキャリアガスで十分パージを行うことです。分析カラムと同様に、酸素存在下で温度がかかると、不活性保護が壊れてしまいますので、注意して下さいね。

 

次のブログでは、試料導入のイロハ・その2として、ディスクリミネーションについてお話ししたいと思います。お楽しみに!!

 

<< Prev
分析条件はどのように決める?

Next >>
試料導入のイロハ~その2・ディスクリミネーションを防ごう~