プラズマ分光分析研究会 筑波セミナーで質問の多かった「リアクション法による干渉除去」について解説します。(第1話/全2話) | ICP-MSラボのあれこれ | 無機分析ラボの日々のあれこれ - PerkinElmer J

プラズマ分光分析研究会 筑波セミナーで質問の多かった「リアクション法による干渉除去」について解説します。(第1話/全2話)

先日、プラズマ分光分析研究会 筑波セミナーが開催されました。そこでパーキンエルマーは、「ICP-MS を上手に使うコツ」というタイトルで講演を行いました。

(講演会では珍しく?) その場でたくさんのご質問をいただきましたが、その中でも「リアクション法による干渉除去での注意点」に、最も多くの質問が寄せられました。プラズマ分光分析研究会という場だったので、メーカーの宣伝にならないよう一般的な内容にしたのですが、「逆に理解が難しかったのでは?」というご意見をいただきましたので、このブログで詳しく解説したいと思います。

 

皆さんはリアクション法での干渉除去をお使いでしょうか?リアクション法はコリジョン法に比べて感度低下が起こらないこと、反応性を利用した手法のため非常に低い濃度まで測定ができる優れた干渉除去方法です。ヘリウムガスの入手が難しい現在、注目されている干渉除去方法でもあります。
非常に有用な方法なのですが、注意点があります。それは、反応副生成物 = 新たな干渉物ができる可能性があるということです。
例えば、アンモニア (NH3) ガスを用いたリアクション法を使う場合、NH3 は干渉の除去にも利用されますが、一方で NH3 と反応しやすい元素があります。例えば、Ti や As のような元素です。逆にこのような反応性を利用して Ti-NH3 クラスターや As-NH3 クラスターで測定を行うアプリケーションもあります(パーキンエルマーが 2000 年頃に開発したマスシフト法、クラスター法と呼ばれる手法です)。

Ti の例 : 48Ti+ + NH3 → TiNH+ (m/z 63)、TiNH(NH3)1~5+(m/z 80~148)

このようなクラスターは、別の元素に干渉することがあります。例えばTiの例で言うと、Ti のクラスターは Cu に干渉します。では、クラスターが干渉する場合はどうすればいいのでしょうか?その答えは、「リアクションセルの分解能を使う」です。
では、どのような ICP-MS でもリアクションセルの分解能を調節できるのでしょうか?答えは No です。セル内のイオンガイドが四重極の場合のみ分解能が調節できます。この分解能の調節については過去のブログで詳しく説明しています。

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つまり、Rejection Parameter(=RP、特定の質量を排除するためのパラメーター)を調節できる四重極を搭載したリアクションセルを持つ ICP-MS のみが副生成物の除去が可能、ということになります。

上の図のように、リアクションセルの分解能が高くないと 63Cu+ と同時に 48Ti14NH+ もセルを通過してしまいます。つまり、m/z 63を測定した場合に、Cu だけでなく Ti のクラスターも検出してしまうのです。

長くなってしまいそうなので、今回はここまでにして、次回は、実際に起こった事例(定量値が不正確となった事例)をご紹介します。

 

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