同軸形ネブライザーをチャンバーにつける深さを気にしたことはありますか? | ICP-OESラボのあれこれ | 無機分析ラボの日々のあれこれ - PerkinElmer Japan

同軸形ネブライザーをチャンバーにつける深さを気にしたことはありますか?

今日は ICP に使われる同軸形ネブライザーをサイクロンチャンバーにどのようにつけていますか?という変な話題です。これを知っているだけで発光強度が 20 % 以上もアップするかもしれない、と言われたら気になりますよね。知っている人は知っている簡単テクニックを紹介します。

ICP 発光ではサンプル溶液を霧化し導入する必要があるため、ネブライザーで噴霧します。最近は同軸形ネブライザーが主流になっています。細かい霧を安定して発生できるためだと思っています。そして、その霧の粒径分離にはチャンバーが用いられます。最近はサイクロン形のチャンバーが主流です。このサイクロン形チャンバーに同軸形ネブライザーを挿入するときに、どこまで挿入するか、という深さで感度が変わることがあります。

この写真ように、少し浅めに挿入しておくと、発光強度が 20 % もアップしました。発光強度が 20 % もアップすると、装置検出下限(ILOD)値は下記式の分母が 20 % アップですので、単純に検出下限値が低くなる計算になります。

 

ILOD = 3×(ブランク繰り返し測定によって得られる標準偏差) / k

k :  検量線の傾き
※文献 JIS K 0116:2003 をご確認ください

 

検出下限値に限らず、発光強度が高くなるということは、その分、再現性も改善されることが期待できます。たとえば相対標準偏差、短時間安定性の改善です。

では、すべての人がネブライザーの挿入深さで感度が改善できるのか?という疑問ですが・・・

上記のように、ほとんど変わらないケースもあります。なぜでしょうか。
よくよく見てみると、、、

 

どうやらチャンバーの形状に依存するようです。サイクロンチャンバーは製造ロットによって若干形状が異なっていることがあります。今回検証したサイクロンチャンバーでは、発光強度の変化が大きいのは、ネブライザー挿入から上部への角度が鈍角の場合のようです。横幅の違いによる霧の移動距離や、体積が効いているのかもしれません。

ネブライザー位置の個人差が出てしまう、という懸念もあります。ネブライザー用スペーサー(品番N0791438 商品名Nebulizer Spacer)というのも存在しておりますので、これを利用することで深さの個人差が無いようにするのも良いでしょう。

 

面白い現象だと思います。ぜひこのテクニックを試してみてください。もしかすると、今より何割か感度アップができるかもしれません。
一方で、測定中にネブライザーやチャンバーには触れないほうがいい、ということでもあります。検量線を測定したあとや、サンプル測定中に、ネブライザーを動かしてしまう、ということがないように気をつけたいですね。

なお、チャンバーの個体差があるものを販売するのはいかがなものか?というクレームは是非お控えいただくと幸いです・・・。私からクレーム出ししておきますね・・・。

 

 

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