サーマルデソープションシステムについて | クロマト分析 日々のQ&A - PerkinElmer Japan

サーマルデソープションシステムについて

 今回はサーマルデソープションシステム(加熱脱着装置)についてお話ししたいと思います。このシステムは、大気中の有害揮発性物質測定や作業環境における有機溶剤測定などに有効な手法です。
複雑な前処理なしで目的成分をGC/MSに導入できる優れモノの前処理装置です。

 

サーマルデソープションシステムって?

 サーマルデソープション(加熱脱着)法とは、吸着剤が充填されたサンプルチューブに、ポンプなどを用いて大気サンプルを捕集・濃縮し、そのサンプルチューブを加熱して発生した成分を冷却したコールドトラップに捕集した後、再加熱してGC/MSに導入する方法です。加熱と脱着が2段階で行われるため、2段階加熱脱着とも呼ばれています。流路図を図1に示します。


図1 サーマルデソープションシステムの流路図

 

 具体的に、サーマルデソープションシステムの中では、どのようなことが起きているのか見てみましょう。

 1段階目の加熱(チューブ加熱)では、吸着剤に目的成分が捕集されたサンプルチューブをセットし、キャリアガスを流しながら加熱します。固体や液体の試料も空のサンプルチューブに直接セットすることが可能です。その先に接続されているコールドトラップをあらかじめ冷却しておくことにより、サンプルチューブから加熱により脱着した揮発性成分はコールドトラップに再濃縮されます。

 2段階目の加熱(トラップ加熱)では、目的成分がサンプルチューブからコールドトラップに移行した時点でキャリアラインを分析カラムに切り替え、コールドトラップを加熱します。目的成分は再脱着されて分析カラムに導入されます。

 

サーマルデソープションシステムはもっとスゴイ!

 今までご紹介してきたHSやTrapも便利な前処理装置なのですが、サーマルデソープションシステムは、もっとすごい点がいくつもあります。代表的な5点を下記に示します。

  1. 気体、液体、固体でも測定可能
  2. 広い沸点の成分(~C44程度まで)が測定可能
  3. 高速でコールドトラップチューブを加熱(40℃/sec)することにより、シャープなピークを取得
  4. 注入率を変えられるため、低濃度から高濃度まで幅広い濃度の分析に対応
  5. 再捕集機能(リコレクト機能)による分析ミスの低減(ATD650)⇒後に詳しく説明します

 このように、サーマルデソープションシステムは、複雑なサンプルマトリックスから目的成分を煩雑な前処理なしに効率よく濃縮し、測定できるスゴイ装置なのです!

 

サンプルチューブについて

 サンプルチューブは、主にガラス製を使用することが多いかと思いますが、そのほかにステンレス製のものもあります。また、様々な種類の吸着剤をご用意していますので、測定対象成分に適した吸着剤を選定することが必要です(吸着剤の選定方法については、このブログの「トラップサンプラーの高感度分析に迫る!」に紹介しています)。
 現場でサンプリングしたサンプルチューブを持ち運ぶときは割れないようにステンレス製を選択するのも良いかもしれませんね。

 このサーマルデソープションシステムを用いて室内環境分析を行ったアプリケーションノートもご用意しています。ご希望の方は、関連記事よりダウンロードできますので、ぜひご活用ください。

 

 次回は、サーマルデソープションシステムを用いた分析のコツやトラブルシューティングを交えてご紹介したいと思います。お楽しみに!

 

 

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