新発売ハイエンドFTIR JASISで国内初出展します! | FTIR Blog - PerkinElmer Japan

新発売ハイエンドFTIR JASISで国内初出展します!

今回のエントリは、新製品の紹介と JASIS のご案内です。

新型コロナの影響で開催が危ぶまれた JASIS ですが、今年は 11/11~13 で開催されることとなりました。
その JASIS で最新ハイエンド FTIR の Spectrum 3 を国内初出展することとなりました!

Spectrum 3 は 2020年4月にリリースしており、すでに顧客向けの出荷も始まっています。また、弊社ラボルームでデモ機のセットアップも完了しており、皆様にご覧いただくのを心待ちにしております。

ぜひ JASIS にご来場いただき、最新機のパフォーマンスをご体験ください。

 

■旧モデルから何が良くなったの?

最新モデルは旧モデルからのアップグレードが数多くありますが、

  • クラス最速レベルの高速スキャン (100 スペクトル/ 秒)
  • 世界初、EGA 4000 (熱重量アクセサリ) によるTG-IR測定
  • 長寿命ダイオードレーザーをオプションで選択可

の 3 つが特に重要なポイントです。

今回のエントリでは、アップグレードの概要をざっとご説明していきます。

 

■高速スキャン

旧モデルのスキャンスピードは 1 秒間に 10 スペクトル程度でしたが、最新モデルでは約 10 倍高速になりました。以下は、クロロ酢酸メチルのエステルの加水分解反応をストップトフロー法で測定した例です。ミリ秒スケールの時間分解で吸光度変化を捉えられています。アプリケーションノートはこちらから入手できます。


毎秒 50 スペクトルで測定したクロロ酢酸メチルの加水分解のスペクトルデータ
生データ(左), 波数 1740(黒)、1602(緑)、1398(赤)、1330(青)の強度プロファイル(右)

 

この技術により、ミリ秒スケールの化学反応のモニタリングや、反応速度論的解析への活用が期待できます。

ところで、どうやってスキャンを高速化したのでしょうか?
その答えは FTIR の干渉計の原理と仕組みを深堀すると見えてきます。

紙面の都合もありますので、詳細は JASIS 初日の新技術説明会でご紹介します。
他ではなかなか聴けない、パーキンエルマー独自の Dynascan 干渉計の要素技術の詳しい解説を踏まえて、スキャン高速化を実現した方法を中心にご説明します。

JASIS 2020 新技術説明会
フラッグシップFTIR新製品紹介:高生産性とクラウド連携を兼ね備えたSpectrum 3の実力

◎日時:11/11 10:25~10:50
◎場所:アパホテル&リゾート<東京ベイ幕張> A-11

 

新技術説明会聴講には、当日発行される整理券が必要となります。
JASIS公式サイトより、事前入場登録し入場証を持参いただくと当日スムーズです。

JASIS公式サイトはこちら

 

■EGA 4000アクセサリによる TG-IR 測定

2つめの革新技術は EGA 4000 による TG-IR 測定です。TG-IR とは、熱重量分析 (ThermoGravimetry ; TG) と赤外分光分析 (InfraRed Spectroscopy ; IR) を組み合わせた分析方法です。試料を TG の電気炉内にセットし、加熱に伴うサンプル重量の変化で発生したガスを FTIR でリアルタイムで測定、定性分析します。TG-IR は FTIR だけ、または TG だけではわからない発生ガスの種類を調べることができます。

 従来 TG-IR 分析をする際、熱重量分析装置と赤外分光分析装置をそれぞれ別個に用意して、2 つの装置をトランスファーラインで繋ぐ必要がありました。熱重量分析装置で発生したガスはトランスファーラインを経由し赤外分光分析装置で分析できます。


PerkinElmer TG-IR ハイフネーションシステム

 

この方法は高パフォーマンスの分析が可能な反面、トランスファーラインでコールドスポットが発生する場合がある、2 台の分析装置が個別に必要になる、といった面で課題がありました。

これらを解決するため、熱重量分析装置の機能を絞って、FTIR の試料室に入るサイズまで小型化しました。
このようにして生まれたのが EGA 4000 アクセサリです。


EGA 4000 アクセサリを搭載したSpectrum 3 FTIR

 

このアクセサリは簡易版 TG の役割を持っていて、Spectrum 3 の試料室に挿して使うことを前提に設計されています。発生したガスは直接ガスセル内に導入されるため、コールドスポットが発生しません。

このように、EGA 4000 は極めて革新的でユニークな製品です。海外での評価も非常に高く、米国 R&D Magazine 社の主催する R&D 100 Award 2020 を受賞しました。この賞は、この一年間に実用化された最も優秀な製品・技術 100 件に対して送られる賞で、本年度国内ではトヨタ自動車やキーエンスなども受賞しています。

試料の熱分解に関する情報を得たいけど、複数装置のハイフネーションはちょっとハードル高いな、装置をコンパクトに、測定時間をできるだけ短くしたいな、とお考えのみなさまに最適です。

 

■長寿命ダイオードレーザー対応

干渉計のミラーの精緻な動きは可視光の単波長レーザーでモニタリングされています。He-Ne レーザーがこの用途で長く用いられていましたが、He-Ne レーザーより高寿命のダイオードレーザーの搭載が広がっています。すでに Spectrum Two はダイオードレーザーが標準装備となっており、メンテナンスの容易さで高い評価を頂いております。今回新たに Spectrum 3 でもオプションでダイオードレーザーが選択できるようになりました。


長寿命ダイオードレーザー

 

■So, Go to JASIS !

Spectrum 3 アップグレードの概要をざっとご説明しました。

が、アップグレードは他にもまだまだたくさんあります。例えば、

  • NIR(近赤外)-MIR(中赤外)-FIR(遠赤外)のトリプルレンジを 1 台で測定できるようになりました。
  • 専用のクラウドサーバへデータを保存することで、他拠点からデータにアクセスできるようになりました。
  • 時間変化測定専用の測定ソフト Time Drive が Spectrum 10 ソフトウェアに統合、使いやすくなりました。
  • ATR 補正時に吸光度の補正に加えて波数シフトの補正にも対応できるようになりました。

 

気になる点がありましたら、ぜひ JASIS 会場のパーキンエルマーのブースにお立ちよりいただき、FTIR スタッフにお声がけください。また、私も常時会場におりますので、“IR のアプリケーションラボの方いますか”とお声がけください。

それでは会場でお会いできることを楽しみにお待ちしております!

 

 

 

<< Prev
多成分検索の応用 半定量分析

Next >>
そのピークの肩にある小さなピーク、見逃してませんか?