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なぜ、ICP質量分析装置での反応セルは四重極マスフィルターの方がいいの?

ICP質量分析法における最大の問題点はスペクトル干渉だといわれています。
しかし、1999年にパーキンエルマーから発表されたDRC(ダイナミックリアクションセル)によってほとんどのスペクトル干渉は除去できるようになってきています。
特に NH3 や CH4、O2 などはとても有効な反応ガスとして知られています。

結論からお話ししますと、四重極マスフィルターを用いることで、これらのガスを使用することが可能になります。

例えば、カルシウム(40Ca)を測定する際にプラズマ源であるアルゴン(40Ar)のスペクトル干渉があります。
下記のようにアンモニア(NH3)ガスを導入することによって Ar+ のみが反応し、非イオン成分(Ar)に変化し除去されます。

40Ca+ + NH3 → 反応しない

40Ar+ + NH3 → 40Ar + NH3+

 

これは発熱吸熱反応の差を利用しており、一般的にはイオン化ポテンシャルでも説明ができます。
イオン化ポテンシャルは Ca < NH3 < Ar の順であり、Ca は最もイオン化ポテンシャルが低い、つまり、イオン化しやすいことを示しています。

一方、Ar は最もイオン化ポテンシャルが高い、つまり、イオン化しにくいことを示しています。
この間に NH3 が存在することによって、Ar のみが反応することが予想できます。
しかし、ここで問題となるのは生成した NH3+ です。これが他の成分と反応することにより新たな干渉が生成されることがあります。
これを反応副生成物と言います。

そこで、反応セル(ユニバーサルセル UCT)の中に分解能の調整が可能な四重極マスフィルターを設け、この反応副生成物を生成する元のイオンを除去することで抑えることが出来るのです。
逆に言うと四重極マスフィルターでない場合、分解能を持たないため、反応副生成物の生成を抑えることが出来ません。

以上のように、反応セルには四重極マスフィルターを搭載することが望ましいのです。

 

来月開催される JASIS 2020 パーキンエルマージャパンのブースでは、反応セルに四重極マスフィルターを搭載した ICP-MS NexION 2000 シリーズ および、反応セルの手前にもう一つの四重極マスフィルターを搭載した真のマルチ四重極(四重極が4つ)ICP-MS NexION 5000 を展示して、皆様のお越しをお待ちしております。

NexION 5000 につきましては新技術説明会でも発表いたしますので、ぜひお立ち寄りください。(11月12日 16:05~16:30 A-4会場)

 

 

 

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