本日はまず、セミナーのご案内をさせていただきます。
パーキンエルマージャパンでは無機分析に関連するセミナーを11月に開催する予定です。
著名な先生をお招きし、貴重なご講演をお聞きいただけます。
このブログの内容の一部を詳細に説明します。
事前に皆様から無機分析を行う上での疑問点などのご質問をいただき、それに対する回答を説明したいと思います。
詳しくは下記HPを参照ください。
無機分析セミナー (※ご好評のうちに終了しました)
では、今回のテーマは添加回収実験を実施していますか?です。
実はとても基本的な事なのです。
ICP 質量分析装置を使用する上で干渉が大きな問題となります。この干渉を大きく2 つに分けるとスペクトル干渉と非スペクトル干渉になります。
スペクトル干渉はピークの重なりによる影響であり、プラス(正)の干渉であることがわかります。
一方、非スペクトル干渉はサンプルの粘性などによる導入効率の変化やプラズマ内で起こる Na などのイオン化しやすいマトリックスによるイオン化の平衡状態の変化、真空内部でのイオン同士の衝突による透過率の変化などがあります。
これらはすべて ICP 質量分析法の場合、マイナス(負)の干渉となります。
この非スペクトル干渉の有無を確認するのに最も有効なのが、添加回収実験です。
サンプル及びサンプルに既知濃度を添加したサンプルを測定し、それぞれの濃度の差が添加した濃度と一致するかを確認することで、サンプルと標準液の単位濃度当たりの感度が一致しているかがわかります。
添加回収率%=(添加サンプルの濃度-添加前サンプルの濃度)/添加量×100
つまり、添加回収実験を実施することによって非スペクトル干渉があるかを確認することができます。
この時重要なのが添加する標準液の濃度です。
基本的には添加前の濃度よりも高い濃度になります。例えば、添加前の濃度が 1 µg/L であれば 1 µg/L 以上を添加します。
1 µg/L に 0.1 µg/L を添加しても 1 µg/L の信号のバラツキによって 0.1 µg/L が安定してみることが出来ません。
だからと言って 100 µg/L を添加すると、検量線の範囲を超えてしまう事やそれ自体が干渉の原因になってしまう事もあります。
一般的には添加する濃度は添加前の濃度と同等以上であり、添加後の濃度は検量線の範囲内である必要があります。
添加回収実験は非スペクトル干渉を確認するために必要な方法なので実施しましょう。
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