ICP発光の細かい使い方講座1~積分時間と繰り返し回数、定量精度とコスト~ | ICP-OESラボのあれこれ | 無機分析ラボの日々のあれこれ - PerkinElmer Japan

ICP発光の細かい使い方講座1~積分時間と繰り返し回数、定量精度とコスト~

 測定メソッドにいくつかある設定項目について解説するとともに、取り扱い説明書には書かれていない設定の理由に触れる、細かいところですが知っておきたい使い方講座1回目は、積分時間と繰り返し回数についてです。

これは求める精度とコストに影響します。
積分時間は、0.01 秒から 500 秒まで選ぶことができます。つまり 1 測定に対し 0.01 秒で測定が完了もできる、ということになります。しかし ICP 発光の測定シグナルはばらつきを持ちます。何度も測定すると正規分布状に値が得られ、その平均値を利用することが多いです(中央値ではない)。短い積分時間での測定ほどその正規分布の広がりは大きくなり、実測値と平均値(中央値や真値)との乖離が大きくなってしまいます。
そこで積分時間を増やすことで安定したデータを得ることができるようになります。もちろんその値は発光強度にも依存しています。強度が小さいほどばらつきは大きくなります。発光強度は元素・波長によって異なります。

では、何秒積分が良いか?というと、一般的には 5 秒積分を 3 回測定した平均値を利用することが多くバランスが良いと思います。ただ、1 ppb 前後の測定をしたい場合は、発光強度も小さいですから 20 秒積分を 3 回測定するほうが良いです。つまり発光強度を読み取るだけで 60 秒要します。積分時間が長ければ安定したデータが得やすく、その分、測定時間は長くなります。目的とする再現性と時間的なコストとを考えて、積分時間を設定すると良いと言えます。

 

 パーキンエルマーの ICP-OES ソフトのデフォルトの積分時間設定は「自動積分 1 秒~ 5 秒」という設定になっています。これは、濃度が低い元素(波長)は 5 秒積分、濃度が高い元素(波長)は 1 秒積分、ということを自動で割り振る機能を利用しています。適切に測定時間を短縮してくれる機能、だと言っていいでしょう。速度と安定性重視で、自動積分 5 ~ 20 秒とするのも良いですね。

 

 おススメは測定時間と測定感度の情報を持っておくことです。積分時間を変えて DL 確認ボタンを押せば検出下限値が得られますので、その値を比較してみてください。その値と定量したい濃度域との差が大きいほど、積分時間を短くして良いと考えられます。(DL 確認ボタンの無い装置をお使いの方は表計算ソフトで検出下限値を計算してみてください)。

  • 通常の分析での推奨設定:積分時間 5 秒、繰り返し 3 回
  • 数ppb域の測定の推奨設定:積分時間 20 秒、繰り返し 3 回
  • 判断できない場合:自動積分 1 ~ 5 秒、繰り返し 3 回

 

第11回:測定積分時間は何秒に設定していますか?それは適切な値ですか?(2017/1/10)

も合わせて読んでみてください。

 

次回(6月)は、「ICP発光の細かい使い方講座2~測定波長の選択と分光器パージ~」を予定しています。

 

 

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