検量線の範囲や測定点数に決まりはあるのか? | ICP-OESラボのあれこれ | 無機分析ラボの日々のあれこれ - PerkinElmer Japan

検量線の範囲や測定点数に決まりはあるのか?

検量線は何点あるといいでしょうか?その濃度範囲はどれくらいがいいでしょうか?JIS K0116発光分光分析通則によると、「濃度が異なる4種類以上の検量線作成溶液を調製する」と記載されています。しかし、その濃度範囲はどの程度が良いかについての明言はありません。それでは4点(ゼロ点含まず)の検量線を作図してみます。

この検量線で3 mg/Lのサンプルを定量したとすると、どうなるでしょうか?どちらも検量線の測定点の範囲内に収まります。 結果は直線性が完璧なら、同じ3 mg/Lとなります。
ICP-OESは定量範囲の直線範囲が広い、という特長を持っていますから、どちらでも同じ結果が得られるということになります。

しかし、現実はそうではありません。直線性が必ずしも完璧ではありませんので、結果としては、これらの検量線での定量値は異なるものが出てきます。検量線は高濃度側(または重みづけすれば低濃度側)に傾きが引き寄せられてしまいます。つまり、サンプル濃度近傍の検量線範囲のほうが定量精度は高くなります。また、1、10、100、1000 mg/Lのように対数的に検量線を作成すると、低濃度域の点はほぼ無視されていきますので、相関係数は1に近づきやすくなります。
直線性が広い、相関係数が1に近い、というだけで検量線範囲を決めるのではなく、目的とする定量値に近い範囲で調製されると良いと考えられます。必ずしも4点必要というわけではなく、4点以上必要な場合もあるでしょうし、それ以下でも十分な場合もあります。この議論は標準添加法においても同様です。

また、検量線範囲を狭くしていると、定量精度があげられる可能性が高いですが、少し検量線を超えてしまった場合は、あとから検量線上点を追加するか、その機能がなければ希釈測定をするのが良いと考えられます。

Avioシリーズのソフトには、検量線エディターという機能が備わっています。この機能を利用すると、検量線の直線性や範囲の評価や、それにともなうサンプル定量値の変化について簡単に確認することができます。


※画像をクリックすると拡大表示されます。

自動希釈機能付きオートサンプラーなどもご提供しています。

検量線の精度以上の定量はできませんが、検量線が適切でも干渉があれば定量精度は高くなりませんのでご注意ください。
第2回:  イオン化干渉との戦いの日々(2016/5/10)
第12回: ナトリウムとカリウムをICP発光で定量できていますか?(2017/5/8)
も合わせて読んでみてください。

 

 

Prev
濃度や検出下限値の表記“ppm”で生まれる誤解

Next
データ解析ソフトを利用して感じた分析化学における多角度からの解析の重要性