濃度や検出下限値の表記“ppm”で生まれる誤解 | ICP-OESラボのあれこれ | 無機分析ラボの日々のあれこれ - PerkinElmer Japan

濃度や検出下限値の表記“ppm”で生まれる誤解

「サンプル中にCdが1ppm以下であることを保証したいのですが」、「検出下限値は0.1 ppbを達成できますか?」などのご希望を聞くことがあります。この「ppm」や「ppb」という表現はとても便利でよく使います。ただ、“前提”がないと意味があやふやになってしまいがちです。言い換えますと、

今おっしゃられたppmという単語は、mg/kgですか?それともmg/Lですか?ということです。

日常的に話す間柄であれば、どちらを示しているか分かりますが、たとえば外部に分析を依頼するときなど、気を付けたいことだと思います。
たとえば、「サンプル中のCdが1 ppm」と言うとき、サンプルが固体であったとき、固体中に1 ppmであれば1 mg/kgです。溶液であれば、1 mg/Lを表現するときに利用する言葉です。固体のサンプルであれば、ICPで測定する場合、溶液化する必要があります。たとえば、0.1 gを100 mLに定容する、といった作業を伴います。すると、測定溶液は固体時に対し1000倍希釈した状態のものを測定することになります。測定値が0.001 mg/Lであった場合、

0.001 mg/L × 0.1 L ÷ 0.0001 kg = 1 mg/kg

ということになります。
もし、“固体”サンプル中のCdが1 mg/kgなのであれば、0.1 gを100 mLに溶かした場合、0.001 mg/Lを測定することになりますし、“溶液”サンプル中のCdが1 mg/Lなのであれば、0.1 gを100 mLに溶かした場合、固体には1000 mg/kgのCdが含まれていることになります。

検出下限値も同様です。1 ppmの検出下限値を満たしたい、と言った場合、溶液中で1 ppm(1 mg/L)なのか、固体中で1 ppm(1 mg/kg)なのかによって測定したい濃度域や、溶かす量がまったく違ってしまいます。

ppmやppb、pptという表現は、たいへん便利な言葉ですが、使用する際には誤解が生まれないように明確に利用したいですね。
なお、ppmとは「parts per million」の頭文字を取って作られていますので、100万分の1を表現しています。1 mg/kgであれば分子分母もgに合わせれば、0.001 g/1000 gということですので、1 g/1,000,000 gということになり、1/100万となります。何g中に何g入っているか、ということですので、ppmなどの表記は“割合(比率)”を表現しているものだと考えると良いと思います。ppmとmg/L、mg/kgは同じ意味(似た意味)ではあるものの、容量あたりなのか、重量あたりなのかによって厳密には異なりますので注意したい表現ですね。容量の場合は比重も考えないといけません。

口頭ではppmで構いませんが、文章ではmg/Lやmg/kgといった表記にすることで、誤解なく意図が伝わりやすくなると思います。

 

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