どんなネブライザーを使っていますか? | ICP-OESラボのあれこれ | 無機分析ラボの日々のあれこれ - PerkinElmer Japan

どんなネブライザーを使っていますか?

ICP-OESは溶液(水溶液や有機溶媒)をネブライザーによって微細な霧とし、高温のアルゴンプラズマへ導入します。つまり、測定するためには、なんらかの霧化する手法が必要となります。一般的に、標準的な導入方法は、同軸形ネブライザーによる噴霧です。これは図1に示すように、細い内管に溶液を流し、その周りにアルゴンガスが流れるように設計されています。


図1. 同軸形ネブライザー

細くなった先端部分に圧がかかり、溶液は霧になります。この同軸形ネブライザーは、細かい霧を作るのに効果的な形状をしており安定的な噴霧ができ、その結果、測定シグナルは安定し、再現性のよいデータを得ることができます。装置を購入すると、ほとんどがこのネブライザーがついてきますので、多くの測定者は利用しているのが実情です。

では、この他にどんなネブライザーがあり、どんな用途に利用できるのか、またそのデメリットは何か、について表にまとめてみました。

名称   用途 メリット   デメリット
ガラス製同軸形ネブライザー 分析全般向け。
水溶液、有機溶媒に利用できる。
噴霧が安定しており測定再現性に優れる。  高塩で根詰まりが起こりやすい。粒子があると詰まる。
フッ化水素酸は利用できない。
ガラス製マイクロミストネブライザー 導入量を抑えた測定を行う場合。
高揮発性有機溶媒の直接導入など。
導入量を抑えながら、細かい霧であるため感度がある程度保持できる。高マトリックスでの回収率が良くなる。 感度が若干下がる。根詰まりが起こりやすい。
PFA製同軸形ネブライザー(微少噴霧) 導入量を抑えた測定を行う場合。
高揮発性有機溶媒の直接導入など。
フッ化水素酸も利用できる。樹脂製でありながら測定再現性に優れる。 感度が比較的良くない。根詰まりが起こりやすい。
PEEKまたはPTFE製パラレルパスネブライザー 高塩や、細かい粒子を含む場合。 溶液流路とガス流路が独立しており、溶液流路の内径も大きく根詰まりしにくい。バビントンやクロスフローに比べ、やや再現性は良い傾向がみられる。フッ化水素酸を利用できる。 同軸タイプに比べ再現性が悪い。霧が大きくなることで、感度は同軸に対し比較的悪くなる傾向がある。
バビントン形ネブライザー 高塩や、細かい粒子を含む場合。 溶液流路とガス流路が独立しており、溶液流路の内径も大きく根詰まりしにくい。 同軸タイプに比べ再現性が悪くなることがある。霧が大きくなることで、感度も比較的劣る場合がある。
クロスフローネブライザー 同上 同上 同上
超音波ネブライザー 同軸形ネブライザーで測定できない微量域の測定。マトリックス濃度が低い場合に利用。 5倍~10倍の感度向上が期待できる。 導入量が増えるためマトリックスの影響を受けやすい。汚れやすくメモリーも比較的発生しやすい。
同軸+脱溶媒導入 同軸形ネブライザーで測定できない微量域の測定。マトリックス濃度が低い場合に利用。 超音波同様に高感度化が期待できる。同軸形ネブライザーが利用できるため比較的小型。 同上
レーザーアブレーション 固体を直接測定できる。 前処理が不要。 材質に依存したアブレーション量の変化が、定量に影響を与える。

 

ICPには様々な導入方法があります。サンプルや分析目的に合わせて選択することで効率の良い分析が可能になります。ご相談ください。

 

 

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