LCのカラムについてのお話です。
GCはカラムの種類・固定相・長さなどで物質を分離していきますが、LCは、カラムと移動相の組み合わせで分離が違ってきます。移動相は使用する溶媒・組成比・pHなど様々です。さらにカラムの長さ、内径、粒子径など様々な項目を考慮しカラムを選択する必要があります。奥が深いので、このブログでは一般的なことを簡単に説明したいと思います。
さて、液体クロマトグラフィーには逆相・順相・サイズ排除・イオン交換などがあります。もっとも普及しているのは逆相クロマトグラフィーですので、逆相についてお話していきます。カラムの内径は分取カラム100mm程度からからナノ用0.075mm程度まであります。それぞれの最高流速も違ってきますので、カラムについてくる説明書は、使用前に必ず読んでおきましょう。耐圧や使用できるpHの範囲なども記載があります。
ところで、カラムの種類ですが、一般的によく使用されているカラムはシリカゲルにC18などのアルキル基を共有結合させた充填剤を使用したカラムです。はじめて試料を測定する際に、まずはこのカラムで試してみるという方も多いのではないでしょうか。
このほかにもさまざまな処理がされた充填剤を使用したカラムがあります。
その一例を以下の図に示します。
官能基
(USP) |
官能基の構造 |
推奨分析対象化合物 |
Biphenyl
(USP L11)
逆相カラム |
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通常のフェニルカラムと異なる選択性。ステロイド、テトラサイクリン、不飽和結合を含む化合物等の分析に推奨 |
Aromax
(USP L11)
逆相カラム
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フェニルカラム。C18,C8等の直鎖アルキル型逆相カラムと異なる保持・選択性。多環芳香族化合物の保持を高める |
PFP
Propyl
(USP L43)
逆相カラム |
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ヌクレオシド、ヌクレオチドプリン類、ピミリジン、ハロゲン化合物の分析に推奨 |
官能基
(USP) |
官能基の構造 |
推奨分析対象化合物 |
C18
(USP L1)
逆相カラム |
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逆相分析のファーストチョイスカラム |
C8
(USP L7)
逆相カラム
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逆相分析において疎水性相互作用を弱めたい(保持を弱めたい)場合に推奨 |
IBD
逆相カラム |
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C18,C8等の直鎖アルキル型逆相カラムと異なる保持・選択性を得たい場合に推奨 |
Aqueous
C18
(USP L1)
逆相カラム
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高極性化合物分析において保持を高めるために水100%移送相を適用したい場合に推奨 |
移動相とカラムの種類の選択方法の事例を以下に示します。
カラムの長さは、50mm~150mmが主に使用されています。また粒子径は1μm~5μmが主流です。このカラムの長さと粒子径が理論段数と分離に大きな影響を与えます。分析の際に分離を向上させたい場合、粒子径を小さくすることで分離度が上がります。また長さを短くすることで、理論段数を維持したまま時間を短縮することが可能です。
そしてカラムの内径は、0.1mm~100mmぐらいまで様々です。内径により推奨流速も異なり、内径が細いものほど流速は遅くなり、太いものほど早くなります。一般的に高圧タイプのLCにおいては内径が細い物を利用し、またLCMSにおいてもイオン化効率の観点から細いカラムを使用します。
LCのカラムは充填剤の種類、長さ、内径、粒子径などの適切なものを選ぶことで分離やピーク強度が向上し、ピーク幅の小さいシャープなピークを得ることができます。今回の紹介したことをベースにさらに掘り下げると分析の幅が広がりますので面白いですよ。
では次回は検出器について触れていきたいと思います。
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