降温と昇温の違いは? | 熱分析屋さんのつぶやき - PerkinElmer Japan

降温と昇温の違いは?

クリスマスが近づいてきました。今年も手作りのケーキを予定している方もいると思います。パティシエのスイーツは自分と違ってどうしてあんなに美味しいのだろうって考えたことはありますか?たとえば、チョコレート。同じチョコレートを使っても同じ味にならないですよね。実はある意味パティシエはスイーツの温度をうまく調節する熱分析屋さんでもあります。

図はパティシエのチョコレートと普通の手作りチョコレートを0℃からDSCで測定した結果です。体温が37℃とすると、チョコレートは37℃では溶けている。そんな先入観を持つと大変です...

図)チョコレートのDSC測定結果

 

図の赤い線はベースラインですから、このベースラインより上なら溶けている(吸熱)です。よく見ると、緑線(下)は吸熱(31℃、35℃)や発熱(16℃)がたくさんあります。青い線は31℃くらいに吸熱が一つ、12℃くらいに発熱が一つです。(もう少しあるのですが、今回はえいやって簡単にしてしまいますね。)
同じチョコレートなのに作る人によって、全然違う...どちらがどちらかというと...
実は緑線がパティシエ作、青線が一般の人作です。パティシエはそのチョコレートの固め方を使うチョコレートにあわせて変えていたりします。途中まで氷水で冷やして、少し固くなり始めたところで氷水から出したりしています。パティシエは固め方を変えているので食べると美味しいと感じるし、材料のチョコレートにあわせて調整してしまうすごい方々です。DSCだと、こういった違いはわかりますが、作り方がわかりません。ならば、DSCの結果が同じになるようにパティシエの冷やし方を真似してしまえばいいわけです。美味しいチョコレートの作り方の冷却の過程がわかってしまえば、同じ美味しさにできますよね、たぶん。
でも、材料自体が変わるとやり直しなので、やはりパティシエはすごい!ってことがわかります。

筆者の場合、熱分析のパターンから温度が何回止まったかを予想してしまいます。途中で冷却を止めるとその温度より高温のピークが大きくなります。緑の図では33℃と27℃くらいで何か調節をやっているだろう、青の図は27℃と25℃くらいで調節しているだろうと予想してしまいます。今回も長いですね...

長いと読むのが大変なので、今回はこのあたりまで。
次回、冷却と昇温の比較の仕方の観点でもう少し詳しくつぶやきます。

 

では次回の”降温と昇温の違いは?その2”でお会いしましょう。

 

P.S
前回のつぶやき、誤植がありました。“試料量が多いほうが高温(青枠:青線)”は“試料量が多いほうが低温(青枠:青線)”でした。近々、つぶやきの内容を修正しておきます。

 

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