更新日: 2025/5/21
ICP-OES や ICP-MS の分析を行う際、日常的に排液は一本のドレインラインで1つの廃液ボトルに集められることが多いかと思います。しかし、以下のようなケースでは排液の回収先を切り替えたいと感じたことはないでしょうか?
    - 水銀(Hg)やヒ素(As)、ウラン(U)などを含む標準液や試料の廃液を分けて処理したいとき
 
    - 有機溶媒測定で、水系と有機溶媒とで排液を分けたいとき
 
    - 水素化物発生法の水素化ホウ素ナトリウム排液と、通常の酸性水溶液測定時の排液を分けたいとき
 
    - 廃液ボトルの交換時に、一時的に予備の小ボトルに切り替えたいとき
 
そんなときに便利なのが、L字型の切り替えコックの利用です。
市販のフッ素樹脂コックで簡単に切り替え
 下の写真のように、T型のL字流路コック(フッ素樹脂製)を使用することで、ワンタッチで排液の流路を切り替えることが可能です。

 
この商品では:
    - 上部の赤い矢印マークが「流路の向き」を示しています
 
    - 左右の配管はそれぞれ2つの排液ボトルへ接続します
 
    - ICP装置の排液を、左右のどちらかにコック操作だけで流路変更することができます
 
接続チューブにはパーキンエルマー純正のPFAチューブを使用
 ICP用途では、排液にも耐薬品・耐酸性の配管が求められます。この接続には、パーキンエルマーで販売している下記のチューブが最適です:
    - 品番:N8145244  High Purity PFA Tubing
 
    - 材質:PFA(フッ素樹脂)
 
    - サイズ:内径0.8 mm / 外径1/16インチ(1.6 mm)
 
    - 長さ:5 m(ブルーマーカー付き)
 
 このチューブは柔軟性が高く、コックとの接続もスムーズで、内径もある程度太めですので、ICP 機器での排液用途にぴったりです。コック商品はパーキンエルマー商品ではないため、ここへの掲載は控えさせていただきますが、理化学用品のカタログや WEB などで販売しています。
現場ユーザーの声から生まれた工夫!
今回のアイデアは、弊社 ICP ユーザー様から「ドレインの切り替えをもっと簡単にできたら」という声を受けて検討したものです。ちょっとした工夫で日常業務が格段に便利になる例として、ぜひご参考になればと思います。
注意点とアドバイス
    - コック接続部の緩み・液漏れがないよう、確実に接続してください
 
    - チューブを切断する際は、垂直にカットすることで接続部の密着性が向上します
 
    - 排液を切り替える前後では、ボトルの中の廃液管理にもご注意ください(特に有害元素を含む場合)
 
 
ご興味のある方は、ぜひ実験室で試してみてください。こうしたちょっとした工夫が、より安全で効率的な分析環境づくりに役に立つと思います。
 
 ICP-MSでは「標準液やサンプルの間の洗浄時間ってどうやって決めればいいの?」という記事がアップされております。こちらも合わせてご覧ください。