ガラス転移ってピークになるの? | 熱分析屋さんのつぶやき - PerkinElmer Japan

ガラス転移ってピークになるの?(今度は内容変更なし)

今年も熱測定講習会があります。熱分析のいろはを覚えるのにいいかもしれません。もちろんパーキンエルマージャパンも協力しています。熱分析の基本を覚えるためにもぜひ。

前回は一部というかすべて内容を変更しちゃいました、ごめんなさい。今回は予告通りの内容です。

さて、寒くなると輪ゴムが切れやすいってことありませんか?輪ゴムを伸ばしたときに切れると一瞬ムッとするのは筆者だけでしょうか...
たまに学生さんにガラス転移って何?という質問をしています。みなさん、ギブズエネルギーの...とか力学的変形性が...とか難しい説明してくれるので、興味深く聞いています。 そこで高分子のガラス転移の実験風景を載せてみました。百聞は一見にしかず...

 

【ゴムを割る実験】

 

 

寒いときには手の体温でゴムを温めると切れにくくなる、それってガラス転移のおかげです。

では熱分析のガラス転移、どんな形になるかというと...高さの違うベースライン2 本になってベースラインがシフトします。


図 ガラス転移の解析、ガラス転移付近のDSC(黒線)、ベースライン(青線)

 

いつもこんなベースラインになればいいのですが、きれいなベースラインを示すことはとってもレアです。ちなみに比熱容量の測れるDSCだとサンプル測定のとき、サンプルの比熱容量の変化に伴ってベースラインは、確実に斜めになります。ベースラインがフラットになるのはサンプルの比熱容量が変化しないサンプルのときと、直接的な比熱容量を測定していないときなので、データを見るときには注意が必要かもしれません。

さて、図はガラス転移の測定結果です。中間ガラス転移温度で比較すると、74 ℃と80 ℃で6 ℃も違います。でも、この結果って同じサンプルの結果です。違うのはガラス転移温度より少し高い温度まで昇温したか、しないかだけです。この吸熱ピーク、ガラス転移に近い温度で観察されるので、ガラス転移前のベースライン、ガラス転移と同じ温度くらいのベースラインシフト、ガラス転移後のベースラインに重なってきます。


図 ガラス転移測定。緑線:一次昇温、赤線:ガラス転移終了温度+20℃まで昇温後、冷却した時の二次昇温

 

エンタルピー緩和はガラス転移温度まで昇温すると見えなくなることも多いので、筆者の場合、ガラス転移を測定するときにはガラス転移終了+10~15 ℃まで昇温して冷却した二次昇温を使うことも多いです。

ただ、ガラス転移温度以上で冷結晶化するとガラス転移のΔCpが変わりますから、冷結晶化開始温度より10 ℃位低い温度までにする様、気を付けています。

筆者の場合、このガラス転移の時の吸熱ピーク(エンタルピー緩和)はガラス転移がわかりにくいときに吸熱ピークがあるところを探してみたりします。
融解する試料なら、融解温度(℃ではなくK)の 0.6~0.8 倍の温度(Kなので℃にするときは引き算忘れないように...)くらいにガラス転移があることが多いので、この温度の吸熱ピークを探せば、見落とすこともなくTg の解析に便利です.冷却過程のガラス転移も確認すると同じくらいの温度でガラス転移して、さらにわかりやすくなって測定する価値ありです。

では、次回の“測定雰囲気をどうしよう...”でお会いしましょう。

 

 

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