分析条件はどのように決める? | クロマト分析 日々のQ&A - PerkinElmer Japan

分析条件はどのように決める?

 装置が立ち上がり、いざ、分析開始!分析を開始するには、もちろん分析条件を決めなければいけませんね。一言で分析条件を決めると言っても、「どうやって分析条件を決めればいいのか、わからない!」との声をよく耳にします。
今回のブログでは、GC分析において、分析条件をどのように決めるのか?その考え方についてご紹介します。

 

分析条件を決めよう!

 分析条件は、実施しようとしている分析が「定性分析」又は「定量分析」か、試料の濃度がどの程度かによっても異なります。

 

【インジェクター(試料注入)部】

 高濃度サンプルの場合はスプリット分析、低濃度サンプルの場合はスプリットレス分析を検討します。使用する検出器の検出下限も考慮して選択します。
 温度は、スプリット分析の場合は対象成分が気化する温度に設定します。

 

【カラム】

 対象成分の極性から選択します。対象成分が無極性の場合は無極性カラム、対象成分に極性がある場合は、極性カラムとし、対象成分がカラムに保持できるものを選択します。
 温度は、昇温分析が一般的です。例えば、50℃程度から10℃/min程度で昇温し、最後の対象成分が溶出するまでの温度を設定します。各成分の分離状態や、分析時間、カラムの使用上限温度も考慮した上で設定します。

 

【キャリアガス】

 ヘリウムガスまたは窒素を使用します。一般的には分離効率の高いヘリウムガスを使用することが多いですが、昨今のヘリウム供給不足や、価格高騰により、代替キャリアへ変更を検討されていることも多くなってきています。

 

【検出器】

 一般的に、水素炎イオン化検出器(FID)、熱伝導度検出器(TCD)、質量分析計(MS)が使用されます。定性分析が目的の場合は、NISTなどのデータベースを利用可能なMS検出器が多く用いられます。各検出器の検出感度や分離面を考慮して、選択します。

 

 

各種温度設定のコツはある?

 注入口温度、検出器温度、MS検出器を使用している場合のトランスファーライン温度について、もう少し詳しく説明します。

 

【注入口温度】

 先述の通り、スプリット/スプリットレス分析の場合は、対象成分が気化する温度に設定します。この時、必要以上に温度を上げすぎないように注意しましょう。成分の熱分解や、シリンジディスクリミネーションが生じる可能性があります。

 

【検出器温度とMSへのトランスファーライン温度】

 試料中の高沸点成分(最後に溶出する成分)が濃縮しない温度に設定します。一般的にはカラムの最終温度+10℃~50℃程度に設定しますが、カラムの使用上限温度に注意して設定しましょう。

 分析条件が決まれば、次はいよいよ測定です。次のブログでは、試料導入についてお話ししたいと思います。お楽しみに!!

 

 

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