ガスクロマトグラフィーを用いた定性分析のコツ-その3- | クロマト分析 日々のQ&A - PerkinElmer Japan

ガスクロマトグラフィーを用いた定性分析のコツ-その3-

 GC/MSを使用すると、得られたマススペクトルから、構造情報と質量情報が得られるため、NISTなどのライブラリ検索を行うことができるのが大きなメリットの一つかと思います(詳しくは、第16回のラボブログ「ガスクロマトグラフィーを用いた定性分析のコツ」を見てくださいね)。
 今回のブログでは、NISTライブラリを有効に活用するためのワンポイントアドバイスをご紹介します。

 

「検索しても、成分が特定できない・・・」でも、諦めない!

 NISTライブラリは、未知成分を定性するために様々な情報を与えてくれます。しかし、「なかなかMatch率が良くない・・・」、「Hitした成分ではないような気がする・・・」など、すぐに成分を特定できないこともあると思います。
 そんな時は、得られたデータから、何か追加情報がないか、最後まで諦めずにデータを解析してみましょう。


図1 得られるマススペクトルの例(ニトロベンゼン)

 

 図1は、ニトロベンゼンを測定した際に得られたマススペクトルです。m/z=77,123 に着目すると、その差は 123-77 なので、m/z=46 です。ニトロベンゼンに含まれるニトロ基は「-NO2」ですので、この m/z=46 は、ニトロ基由来ということがわかります。

 このように、得られたマススペクトルの情報から、部分的な構造を推定することも可能です。さまざまな情報を総合的に利用して、定性作業を進めてみてくださいね。

 

NIST ライブラリを使いこなそう!

 NISTライブラリには、様々な検索方法が可能であるのをご存じでしょうか。質量数や、CAS No、化合物名など、指定した情報か検索することも可能です。
 ここでは、CAS Noから検索する方法をご紹介します。

 【CAS Noからの検索手順】

 ① NIST画面下部の「Other Search」のタブをクリックします。

 ② NIST画面上部の「双眼鏡のアイコン」横にあるタブのプルダウンから、「CAS Number」を選択します。


図2 NIST画面(Other Search)

 

 ③ 「Enter CAS registry number」に検索したい化合物のCAS Numberを入力し、検索します。

 

 このように、不明ピークを検索するだけでなく、さまざまな方法でライブラリに掲載されている化合物情報を閲覧することもできます。NISTライブラリを使いこなして、GC/MS分析にぜひ役立ててください。

 今までのラボブログではGC,GCMS,前処理装置などの特徴やそれらを用いた分析のコツなどを中心にご紹介してきました。
 次回からは、LCを含めてご紹介をしていきたいと思いますので、今後のラボブログにもご注目下さいね!

 

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