キャリアガスの純度は分析結果に影響する? | クロマト分析 日々のQ&A - PerkinElmer Japan

キャリアガスの純度は分析結果に影響する?

 昨今のヘリウムガスの供給不足により、GCをお使いのみなさまは、ヘリウムガスをキャリアガスとしている場合、その入手に一苦労されているのではないかと思います。
 今回のブログでは、お客様からのお問い合わせが多い、キャリアガスの純度とその影響についてご紹介します。

 

キャリアガスの純度って大事!

 キャリアガスの純度は、分析結果に影響しますか?・・・答えは、「Yes」です。
GC分析を行う上で考慮すべき不純物は、①酸素、②炭化水素、③水分の3成分です。これらの成分がどのように分析結果に影響を与えるか、表1に示します。

表1 キャリアガスの純度が分析に与える影響の例
  不純物とその影響
検出器 FIDなど全般 酸素:ベースラインのドリフトが大きくなる
炭化水素:ベースラインの上昇
水分:サンプルとの吸着
TCD 酸素:酸化によりフィラメントの寿命が短くなる
MS 酸素:感度低下
カラム 酸素:液相の酸化によりカラム劣化が早まる

 

 このように、キャリアガスの純度はさまざまな影響を与えますが、キャリアガス由来のトラブルは、原因を特定するまでに時間がかかることが多いと思います。そのため、トラブルにならないよう、日ごろから注意しておきたいですね。

 

ガス精製管を使おう!

 ガスの不純物の影響を最小限にするため、ガス精製管を装置の直前につけることをお勧めします。ガス精製管は、使用するキャリアガスの種類や、不純物の種類によってさまざまなものが用意されています。目的に合ったものを使用してくださいね。


図1 PerkinElmer製のガス精製管の例

 

 ガス精製管を交換した際は、交換年月日を記録しておくと便利です。使用頻度や、ガス純度にもよりますが、通常は1年程度を目安に定期的に交換することをお勧めします。また、検出器で使用するガスにも取り付けることを忘れないようにしてください。

 

 次回のラボブログでは、キャリアガスに関連して「キャリアガスが漏れたら?どのように検知するか?」についてお話ししたいと思います。お楽しみに!

 

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