キャリアガスが漏れたら?漏れはどのように検知する? | クロマト分析 日々のQ&A - PerkinElmer Japan

キャリアガスが漏れたら?漏れはどのように検知する?

 GC分析を行う上で、切っても切り離せないのは「キャリアガス」です。そのキャリアガスが漏れたら、どうなってしまうのでしょうか。キャリアガスとして、ヘリウムガスをお使いの方も多いと思いますが、「ヘリウムガスの削減」に取り組んでいる昨今の状況では、「漏れ」は防ぎたいですよね。
 今回のブログでは、キャリアガスが漏れたらどうなるの?また、その漏れをどのように検知するかについてご紹介します。

 

キャリアガスが漏れている・・・?

 キャリアガスが漏れる箇所は、さまざまな箇所が考えられますが、最も頻度が高いのは、【接続部】です。注入口や検出器とカラムの接続部、前処理装置を使用している場合は、その接続部・・・等、さまざまな接続部がありますよね。
 接続が緩く、初めから漏れている場合もありますが、熱履歴がかかった後に漏れることもあります。例えば、カラムオーブン内に使用したフェラルが加熱により熱収縮が生じ、その部分からキャリアガスが漏れる、といったことが考えられます。


図1 PerkinElmer製のフェラル例

 

 その対処方法として、一連の分析をスタートする前に、使用予定の温度までカラムオーブンを昇温させたのち、接続部を増し締めしてから、分析をスタートするようにすると良いですよ。

 その他、セプタムの劣化によってもキャリアガスが漏れる可能性があります。ご存じの通り、セプタムは使用回数が増えれば、劣化します。そのままにしておくと、いつの間にかセプタムに空いた穴が大きくなり、そこからキャリアガスが漏れていたりします。
 そうならないためにも、定期的にセプタム交換を実施するように心がけたいですね。

 

キャリアガスの漏れが分析結果に与える影響は・・・?

 キャリアガスが漏れると、分析結果にどのような影響がでるのでしょうか。図2にそのクロマトグラムの一例を示します。
 このクロマトグラムは、カラム入口側のナットを緩めた状態でGCMSを用いた測定例です。このように、キャリアガスが漏れていると、ピーク形状にも影響します。得られたピーク形状に異常が見られた場合、様々な要因が考えれられますが、その一つとして、キャリアガスの漏れを確認してみてください。


図2 キャリアガスの漏れによる分析結果への影響例
(上段:キャリアガスが漏れている状態、下段:正常な状態)

 

漏れを検知するには・・・?

 キャリアガスの漏れを検知する場合は、図3に示したようなリークディテクタ―を使用すると便利です。このリークディテクタ―は吸引式で、周囲環境(空気)との熱伝導度の差を検知しています。検査箇所に先端のプローブを近づけるだけで確認できます。リークを検出した際は、内蔵された検出レベルメーターと共に、アラーム音で知らせてくれます。


図3 PerkinElmer製のリークディテクタ―

 

 ここで、キャリアガスをヘリウムではなく、窒素を用いている場合は、リークディテクタ―では周囲環境(空気)との熱伝導度の差少ないため、検出が厳しいことが多いです。その場合、GCMSにおいては装置に影響を与えづらいプッシュ缶に入ったメタンガスを吹き付けたり、メタノールなどの揮発性の溶媒を検査箇所に近づけたりしてMSでモニタリングする方法もあります。

 

 次回のラボブログでは、「新品のカラムってどう使うの?その注意点は?」についてお話ししたいと思います。お楽しみに!

 

 

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