ICP-OESでハロゲンって測定できますか?(塩素、臭素、ヨウ素) | ICP-OESラボのあれこれ | 無機分析ラボの日々のあれこれ - PerkinElmer Japan

ICP-OESでハロゲンって測定できますか?(塩素、臭素、ヨウ素)

 ICP-OES でハロゲンの測定はできるでしょうか。ICP-OES でハロゲンを測定できれば、周期表上のほとんど全てが測定対象となります。今回は、ICP-OES でのハロゲン測定について、どこまでの濃度を測定できるのか、実際の測定上の問題点はあるのか、について紹介します。
 (セシウムの実際の測定上の問題点と対策について書く予定でしたが、アプリケーションノートとしてリリースすることになりましたので、完成しましたらお知らせします。)

 

 これまでの測定手法といえばイオンクロマトグラフィーですが、この手法は水溶液中のハロゲンを感度良く測定できる1つの優れた技術です。しかし、分析時間が長いことや、目的対象に応じアニオン、カチオンとカラムを取り換える必要があり(そのためにコンディショニングが必要であったり、場合によっては装置を複数台用意する必要もある)、多様な元素を同時に測定することが難しく、多くの情報を得たいときに課題もあると思います。また、基本的には水溶液である必要があり、酸濃度が高すぎたり、マトリックスが高すぎたり、有機溶媒だったりすると、前処理をする必要が出てきます。
 一方、ICP-OES は溶液であれば直接導入できますし、ハロゲンの分析としては、これまで 160 nm 以下の真空紫外域での測定例などが報告されています。このような短い波長域での問題は、酸素等によって発光が吸収されてしまうことや、光を取り込むための石英窓などでの吸収により、感度良く測定できないことにあります。このため多くの ICP-OES では塩素や臭素の分析をあきらめています。
 MIT wavelength table によれば 800 nm 以上に塩素と臭素の発光線が掲載されています(ヨウ素は 180 nm 付近に感度の良い発光線あり)。PerkinElmer の ICP-OES Avio 220 は 160~900 nm までの広い波長範囲を測定できる優れた分光器を持っており、いずれも測定対象範囲にあります。

 塩素、臭素、ヨウ素について測定した発光スペクトルを示します。

 

 塩素と臭素はコールドプラズマ条件、ヨウ素はホットプラズマ条件の方が感度が高く得られる傾向にありました。

 塩素と臭素は 10 mg/L 程度、ヨウ素は 0.1 mg/L 程度であれば測定は十分にできそう、ということが分かりました。塩素の場合、これくらいのサンプルというと何があるでしょうか?水道水中に含まれる塩素は数 mg/L 程度のようですので、測定対象となってくると思われます。横浜市の水道中の塩素を測定してみましたが、市から公表されている塩素値とほぼ同等であることが確認できました。ただ、少し感度不足気味かな、といった印象です。もう少し高感度導入系との組み合わせなどを試しても良いかもしれません。

 何か測りたいサンプルや分析用途があればぜひご相談ください。

 

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