ICP-MSシングルセル法による卵巣癌治療の効用改善 | Stories - PerkinElmer Japan

ICP-MSシングルセル法による卵巣癌治療の効用改善

卵巣癌について

アメリカでは毎年2万2千人の女性が卵巣癌に罹患しており、その5年生存率は50%と推測されていますが、新しい治療法により、この生存率は改善が見込まれています。1

現在の高い死亡率は、様々な要因によりもたらされています。最も致死率の高い「上皮性卵巣癌」は典型的な型で、卵巣癌と診断された90%もの女性はこの型に罹患しています。卵巣癌は潜行性で、初期のステージでは目立った症状はなく、ベテランの診断医でも見つけることは困難です。最終的に病気が発見された時には、癌が進行していることが多いのです。2

多くの卵巣癌患者はまず、癌の病巣である卵巣、卵管、子宮、そして隣接するリンパ管の摘出手術を経験します。術後には通常、化学療法が、時には放射線治療が行われます。プラチナ製剤のシスプラチンは卵巣癌に一番効果があるとされる化学療法薬の一つです。1970年代から行われているシスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチンによる標準的な治療は、初めのうちは抗癌剤としてとても効用があります。しかし残念なことに癌の再発が起こるとともに、癌がシスプラチン耐性を獲得してしまうという側面があります。3

新たな戦略

米国の国立衛生研究所とパーキンエルマー社は、この状況を変えるために共同研究をしています。「シスプラチンの細胞への取り込みを研究する際の問題は方法論にあります。」と、国立衛生研究所のマイノリティの健康と医療格差研究所の科学者Lauren Amable博士は言います。「従来は、細胞をシスプラチンで処理し、その後、原子吸光光度法またはICP-MS法を使用して細胞集団中の総プラチナ量を測定していました。」しかし、この方法は個々の細胞ではなく細胞集団に焦点を当てているため、その結果には多くの疑問が残ります。「現実問題、シスプラチンの取り込みは細胞毎に異なる可能性が高いのですが、今まで個々の細胞のシスプラチン吸収を評価する効果的な方法がなかったのです。」

シングルセル ICP-MS

Amable博士はパーキンエルマー社が開発した革新的な新技術について言及しています。このNexION® ICP-MS シングルセル分析法 (SP-ICP-MS)では一細胞毎の金属含有量を測定し定量することができます。

「NexION® ICP-MS シングルセル分析法 (SP-ICP-MS)により、卵巣癌の一細胞単位での金属の定量分析が初めて可能になりました。」共同研究者であるパーキンエルマー社のアプリケーション シニアリーダーのChady Stephan氏と言っています。

「この手法は、プラズマに導入された細胞から生成された信号を計測するという技術に基づいており、これにより個々の細胞中のシスプラチンを定量することが可能となります。」 Amable博士はこのように説明します。「新技術により、シスプラチンの取り込みが、腫瘍細胞内で実際に起こっていることをより密接に反映することが分かりました。つまり、癌細胞へのシスプラチン取り込みを増加させるための新たな戦略の開発につながり、医療の進展に役立つのです。」

「これからの研究では、シングルセルICP-MSを使用することにより、癌細胞へのシスプラチンの取り込みについての理解が進むことでしょう。それに伴い、卵巣癌の治療法だけではなく、シスプラチンやその他の金属製剤を利用した他の癌の治療法の開発も進むことでしょう。」このようにStephan氏は述べています。この新しい技術は、癌に対するワンサイズのアプローチに代わる、患者一人ひとりに合うパーソナル医療の進化を支えていると言ってもいいでしょう。

 

References

  1. Cleveland Clinic, “Ovarian Epithelial Cancer,” Cleveland Clinic Health Library, accessed February 13, 2017
  2. American Cancer Society, “What Is Ovarian Cancer?,” About Ovarian Cancer website, February 4, 2017, accessed February 13, 2017.
  3. Britta Stordal, Mary Davey, “Understanding Cisplatin Resistance Using Cellular Models,” International Union of Biochemistry and Molecular Biology Life Journal, 2007, Vol. 59, Issue 11, pp.696–699, Accessed February 13, 2017.

 

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