水素化物発生ICP法のメリットとデメリット | ICP-OESラボのあれこれ | 無機分析ラボの日々のあれこれ - PerkinElmer Japan

水素化物発生ICP法のメリットとデメリット

ヒ素AsはAsH3、セレンSeはSeH2のように、塩酸酸性溶液中でNaBH4 との還元反応により、常温で気体状の水素化物を発生させます。これにより、溶液からガス化されたAsやSeを取り出し、プラズマへ試料導入効率を大幅に上げることができます。そのため、通常、測定感度の悪いAsやSeであっても検出下限50pptレベルまで到達することが可能です。しかし、還元反応を利用するため、いくつかの問題点を持っています。たとえば、固体サンプルを硝酸分解して分析溶液を得た場合、この硝酸が還元反応を阻害します。そのため、さらに前処理によって硝酸を除去するような作業が必要になります。また、銅やニッケルなども代表的な干渉源となります。そのため、実際の分析においては“添加回収試験”を実施することが望ましいやり方です。ちょっと手間はかかりますが、それ以上に大幅な感度増加という魅力もある分析手法ですね。

ちなみに、パーキンエルマーの水素化物発生キットは手のひらサイズです。標準導入系と付け替えも1分もあれば交換可能です。ぜひお試しください。

 

 

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