LANCE/LANCE Ultra TR-FRET Assays
時間分解蛍光-蛍光共鳴エネルギー転移法

ユーロピウム（Eu）に代表されるランタニドは、通常の蛍光物質と比較して、200,000倍という非常に長い蛍光寿命を持ちます。この特徴を利用した時間分解蛍光測定では、通常の蛍光が消光した後（図1; 400µs. ）に測定を開始し、一定時間内（図1; 800µs. まで）の蛍光量の測定を行います。さらに、ストークスシフトが非常に広いため（Euの場合、励起波長 340nm, 蛍光波長 615nm）、通常の蛍光特性をもつバックグラウンドの影響を最小限に抑えることができます。

原理

蛍光ランタニドキレートによる時間分解蛍光技術とFRET; Fluorescence Resonance Energy Transfer（蛍光共鳴エネルギー転移）技術を応用したものがLANCEです。LANCE TR-FRET は、ドナー標識（ユーロビウムキレート）とアクセプターが特異的な結合反応によりお互いに近接することにより起こります。Euキレートの励起されたエネルギーは非放射的な共鳴エネルギー転移によって、近距離にあるアクセプターにエネルギー転移をします。長時間の励起状態にある蛍光物質であるランタニドは、励起光によるアクセプターの直接励起により発生しうる短寿命の蛍光による非特異的バックグラウンドを回避することができます。LANCE TR-FRET法は、リン酸化酵素アッセイ、核内受容体およびタンパク質のバインディングアッセイなど、広く用いられています。

• LANCE Ultra
  ドナーはLANCEと同様Euキレートを使用しますが、アクセプターに蛍光分子ULightを使用します。
  ULightは、低分子のため、ペプチドやタンパク質を直接標識可能で、エネルギー転移距離がLANCEよりも短くなるため、より高いシグナルを得ることができます。
  キナーゼアッセイでは、ULightが直接標識されたペプチドと、Eu標識抗リン酸化抗体を使用します。
• LANCE
  Allophycocyanin-streptavidin (SA-APC) をアクセプターとして使用します。キナーゼアッセイでは、ビオチン標識したペプチドと、Eu標識抗体、SA-APCの複合体形成を検出します。

特長

• 高感度で確実なアッセイ
  品質の高いデータを提供します。
• 低バックグラウンドシグナル
  ストークスシフトが大きく、長波長を測定するため、着色化合物の干渉はありません。
• 偽陽性率が低い
  時間分解測定により、自家蛍光の影響を受けません。
• 安定シグナル
  長時間安定してシグナルを生じます。
• ウルトラハイスループット対応
  自動化が容易で、サンプルの大量処理に適します。

製品リスト

• バイオマーカー検出アッセイ

• キナーゼアッセイ
  • LANCE Ultra Kinase Assays & Reagents
  • LANCE Kinase Assays & Reagents
  • LANCE Ultra 細胞内リン酸化タンパク質検出キット 

• GPCRファンクショナルアッセイ
  • LANCE™ Ultra cAMP Kit

• リガンド・受容体結合アッセイ
  • EGF/EGFR kit

• エピジェネティクス関連アッセイ

• LANCE General