ここ数年、世界的にヘリウムガスの供給が困難な状況にあり、安定してヘリウムガスを使用することが、難しくなっています。
PerkinElmerでは、ICP-MS、GCにおける代替案をご用意しております。
ICP質量分析法におけるヘリウムガスの供給不足に関するご提案
ICP質量分析法におけるスペクトル干渉の除去を目的としたコリジョン法には主にヘリウムガスが用いられます。
PerkinElmer Japanでは、いち早くこの問題に対して、対策を取り、2019年9月に開催された日本分析化学会にて、ヘリウムガスの代替えとしてネオンガスによるコリジョン法について発表し、論文にも投稿しました。(産業技術総合研究所、関西学院大学との共同研究)
Application of neon as a collision gas – a cell gas index for collision/reaction cell-ICP-MS determination
T. Narukawa, O. Shikino and K. Chiba, J. Anal. At. Spectrom., 2020, 35, 2142–2147
同様に2023年、2024年にも日本分析化学会にてヘリウムガスの代替えとしてアルゴンガスや窒素ガスなどを用いた方法について発表を行いました。
この内容は、弊社ホームページのラボブログでも一部内容を紹介していますので、ご参照ください。
ICP-MSラボのあれこれ
「コリジョンガスに用いるヘリウムガスの代替えは無いの?」
「Heガス不足対策!ICP質量分析法による水道水、河川水の測定にHeガスがなくても大丈夫!」
「Heガス不足対策!ICP質量分析法で水道水をHeなしで測定してみた!(ArとN2のみ)」
また、PerkinElmerのICP-MSでは、ヘリウムガスによるコリジョン法以外に、メタンガスやアンモニアガス、酸素ガスなどを用いたリアクション法を用いることもできます。
リアクション法は25年以上の歴史があり、環境、金属、生体、食品、半導体などの多くの分野で、多くのユーザー様にご採用いただいております。
このようなリアクション法で用いられるガスもヘリウムガスによる希釈ガスではなく、開発当初(1999年)より、純ガス(例.100%アンモニアガス)を用いることが出来ますので、ヘリウムガス不足による影響はありません。
PerkinElmerのICP-MSはヘリウムガスを用いなくても、純ガスを用いたリアクション法やネオンガスを用いたコリジョン法でスペクトル干渉の除去が可能です。
クロマトグラフィー関連製品のヘリウム(He)代替キャリアガスにつきまして
昨今の世界的なヘリウムガスの価格高騰と供給不足から、弊社クロマトグラフィー関連製品をお使いいただいているお客様から代替キャリアガスのお問合せをいただくケースが増えています。
クロマトグラフィー関連製品はヘリウム(He)代替キャリアガスとして、窒素ガスもしくは水素ガスを使用できます。それぞれのガスの性質・使用上の注意点・技術資料をご紹介します。
窒素(N2)ガスについて
- 窒素ガス(N2)の特性
- 窒息のリスクを除けば比較的安全です。
- ヘリウムガスと比較して安価です。
- 窒素ガス(N2)運用上の注意
水素(H2)ガスについて
- 水素ガス(H2)の特性
- 酸素との混合により引火爆発の危険があります。
- ヘリウムガスと比較して安価です。
- 水素ガス発生装置での生成が可能です。
- 水素ガス(H2)運用上の注意
- 安全のため、水素ガス発生装置のご使用をお勧めします。
- 水素ガスをキャリアとして用いる場合は、ガス供給源や配管、装置本体からの水素ガスの漏洩及び引火のリスクに細心の注意が必要です。
- 局所排気装置を含む機器周辺環境の整備、リークディテクタや水素検知器などの安全装置の使用、施設内での安全上の注意事項の共有・遵守などを含め、お客様責任においての運用をお願いします。
- 分析条件の再検討が必要です。
※一部製品や装置仕様、アプリケーションによっては代替キャリアガスが使用できない場合があります。
※代替キャリアガスを使用される際は、装置の追加オプションが必要になる場合があります。
※代替キャリアガスをご検討の際には後述のお問い合わせ先にご連絡ください。
技術資料
お問合せ先
PerkinElmer Japan合同会社 コールセンター
TEL:045-522-7825 (平日9:00~17:00)
FAX:045-522-7832
E-mail: Japan.CS-online.aes@PERKINELMER.COM