米科学誌「Environmental Chemistry Letters」に森林がマイクロプラスチックを補足することを示した共同研究論文が掲載されました
日本女子大学大学院理学研究科の宮崎 あかね教授、同理学研究科博士課程前期2年の須永 奈都氏、早稲田大学理工学術院の大河内 博教授、および PerkinElmer Japan 合同会社の新居田恭弘らによる研究グループは、葉面に捕捉された大気中マイクロプラスチック(AMPs: Airborne microplastics)に適した葉面洗浄法を開発し、AMPs を µFTIR-ATR イメージング法で検出、同定することにより、AMPs が葉面のエピクチクラワックスに吸着・捕捉されるというメカニズムを初めて解明しました。
本研究により、森林が陸域における AMPs のシンク(吸収源)として機能しており、AMPs の環境動態の解明、ヒトによる AMPs 吸入リスク低減において森林が重要であることを明らかにしました。
本研究成果は、『Environmental Chemistry Letters』誌(論文名:Alkaline extraction yields a higher number of microplastics in forest canopy leaves: implication for microplastic storage)にて、2024年3月20日(現地時間)にオンライン掲載されました。
雑誌名:Environmental Chemistry Letters
論文名:Alkaline extraction yields a higher number of microplastics in forest canopy leaves: implication for microplastic storage
執筆者名(所属機関名):須永奈都1、大河内博2、新居田恭弘3、宮崎あかね1
(1 日本女子大学、2 早稲田大学、3 PerkinElmer Japan合同会社)
掲載日時(現地時間):2024年3月20日
掲載URL:https://doi.org/10.1007/s10311-024-01725-3
DOI:10.1007/s10311-024-01725-3
プレスリリース
雲水中のマイクロプラスチック観測の共同研究が、New York Timesによる『2023年にはじめて起きたこと20選』に選ばれました
雲水中に大気中マイクロプラスチックが存在することを初めて実証した共同研究が、New York Timesによる『2023年にはじめて起きたこと20選』に選ばれました。
20 Things That Happened for the First Time in 2023
Dec. 5, 2023
https://www.nytimes.com/2023/12/05/special-series/20-things-that-happened-for-the-first-time-in-2023.html
雲水の野外観測で初めてマイクロプラスチックの存在を実証した共同研究が早稲田大学のプレスリリースに掲載されました
早稲田大学とPerkinElmer Japanを含む研究グループは、富士山と丹沢大山で雲水の試料を採取し、大気中のマイクロプラスチック(AMPs)の存在を初めて明らかにしました。本研究によると、雲水中では親水基を有するAMPsが濃縮され、ポリエチレンやポリプロピレンのような本来親水基を有しない物質も紫外線劣化により雲凝結核や氷晶核として機能し、環境や健康リスクを高める可能性があることが示されました。
―プレスリリースを要約―
プレスリリース(日本語版) Wed, 23 Aug 2023
Press Release (English)
米科学誌「Environmental Chemistry Letters」に大気中マイクロプラスチックの共同研究の論文が掲載されました
早稲田大学、PerkinElmer Japan 他6機関の共同研究です。
富士山の山頂の雲水中から大気中のマイクロプラスチックが発見されました。雲水中からマイクロプラスチックを検出したのは世界初です。
タイトル:
Airborne hydrophilic microplastics in cloud water at high altitudes and their role in cloud formation
著者:
Yize Wang1, Hiroshi Okochi1, Yuto Tani1, Hiroshi Hayami1, Yukiya Minami2, Naoya Katsumi2, Masaki Takeuchi3, Atsuyuki Sorimachi4, Yusuke Fujii5, Mizuo Kajino6, Kouji Adachi6, Yasuhiro Ishihara7, Yoko Iwamoto7 & Yasuhiro Niida8
1 Waseda University, Tokyo, Japan
2 Ishikawa Prefectural University, Ishikawa, Japan
3 Tokushima University, Tokushima, Japan
4 Toyo University, Saitama, Japan
5 Osaka Prefecture University, Osaka, Japan
6 Meteorological Research Institute, Ibaraki, Japan
7 Hiroshima University, Hiroshima, Japan
8 PerkinElmer Japan G.K. Kanagawa, Japan
掲載日時(現地時間):2023年8月14日
掲載URL: https://doi.org/10.1007/s10311-023-01626-x
米科学誌「Chemosphere」に大気中マイクロプラスチックの共同研究の論文が掲載されました
日本獣医生命科学大学、早稲田大学、PerkinElmer Japanの共同研究です。
国内に生息する野鳥の肺から大気中のマイクロプラスチックを検出されました。
タイトル:
Airborne microplastics detected in the lungs of wild birds in Japan
著者:
Yurika Tokunaga1, Hiroshi Okochi2, Yuto Tani2, Yasuhiro Niida3, Toshio Tachibana4, Kazuo Saigawa4, Kinya Katayama1, Sachiko Moriguchi1, Takuya Kato1, Shin-ichi Hayama1
1 Nippon Veterinary and Life Science University, Tokyo, Japan
2 Waseda University, Tokyo, Japan
3 PerkinElmer Japan Co. Ltd., Kanagawa, Japan
4 Applied Biology Co. Ltd., Tokyo, Japan
DOI: https://doi.org/10.1016/j.chemosphere.2023.138032
第63回大気環境学会年会 特別集会にて講演しました
開催日:2022年9月14日(水)
タイトル:µFTIR ATRイメージングによる大気中マイクロプラスチック (AMPs) 分析手法の開発
講演概要:
近年、環境分野の研究の発展とともに着目されるマイクロプラスチックの小径化が進んでおり、微小なプラスチックを短時間で効率よく検出する分析手法が求められている。AMPs計測の自動化における現状と課題に対し、プロジェクトで得られた研究成果および今後の取り組みを紹介する。
講演者:PerkinElmer Japan合同会社 アプリケーションリサーチラボ 新居田 恭弘
IIAE特別セミナーにて講演しました
開催日:2022年1月14日(金)
タイトル:赤外分光法・顕微IR の基礎と大気中マイクロプラスチックへの応用
講演概要:
赤外分光分析(IR)は分子振動に基づく赤外吸収を利用し未知物質を同定する分析法である。蛍光による測定データへの妨害がなく,幅広い試料に対して良好な結果が得られる。
顕微IRは赤外光を凹面鏡で集光でき,主に1mm以下の物質のIR測定に利用される。近年の顕微IRは高感度な面分析手段に発展しており,微小な物質を高速かつ効率よく測定できるIRイメージングが様々な技術分野で活用されるようになってきた。
大気中マイクロプラスチック(AMPs)の実態解明のため,粒子径10μmを下回る極めて小さなAMPsの検出が求められる。顕微IRにおいて最も高い空間分解能が得られるATRイメージング法を検討した結果,粒径数μmのAMPsの同定が可能となった。更にプラスチックの劣化に高い感度を持つATRイメージングの特性を利用し,環境中での劣化期間の推定について検討した。本セミナーでは,赤外分光分析および顕微IRの原理と仕組み,大気中マイクロプラスチックへのATRイメージングの応用と課題について述べる。
講演者:PerkinElmer Japan合同会社 アプリケーションリサーチラボ 新居田 恭弘
PKI Global Environmental Sciences Summit(環境科学サミット)にて、早稲田大学 大河内先生に講演いただきました
開催日:2021年6月4日(金)
タイトル:Airborne Microplastics in Urban, Tropical and Free Tropospheric Atmospheres
講演者:
早稲田大学 理工学術院 創造理工学部 環境資源工学科
教授 博士(工学) 専門:環境化学
大河内 博先生
ATRイメージングを用いた大気中マイクロプラスチックの高空間分解能分析
ATR イメージングは、高屈折率のATR クリスタルをサンプル表面に接触させてイメージング測定する分析方法です。1 回の測定で膨大な量の微小なマイクロプラスチックを高い空間分解能で検出できるため、微小な大気中マイクロプラスチックの測定に最適な分析手法です。
本アプリケーションノートでは、ATR イメージングを用いた微小な大気中マイクロプラスチックの分析解析方法をご紹介します。
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顕微FT-IRを使用したボトル飲料水中に含まれるマイクロプラスチックの分析方法
ボトル飲料水は、水道水を飲むよりも清潔で、不純物が入っていないというのが売り文句です。その一方で、使い捨てペットボトルを使用することにより、廃棄されたボトル(劣化するまで何年もかかります)が増えつつあります。それらは、より小さい破片や粒子へと分解したマイクロプラスチックとして、環境汚染に影響を及ぼす傾向にあると考えられます。
最近の研究ではマイクロプラスチックが、ボトル飲料水のいくつかのブランドで検出されていることが報告されています。
このアプリケーションノートでは、PerkinElmer のSpotlight 400 FT-IR イメージングシステムを使用して、いくつかの異なるブランドのボトル飲料水の分析について解説します。
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赤外顕微鏡システムによる化粧品中のマイクロプラスチック粒子の検出と定性
現在販売されている多くの化粧品に、研磨剤としてマイクロプラスチックビーズが含まれていることがあります。一般的にこれらのマイクロプラスチックのサイズは1 mm 未満であり、生活排水と一緒に下水処理場へ運ばれます。しかし、マイクロプラスチックは小さすぎるために取り除くことが困難です。
2014 年に米国の多くの州で化粧品へのマイクロプラスチックの使用が禁止され、ほとんどの化粧品会社が自主的にマイクロプラスチックの使用を段階的に廃止しています。
このアプリケーションノートでは、Spotlight 200i 赤外顕微鏡システムを使用して化粧品の中にピーリング剤としてマイクロプラスチックが含まれるかを検査しました。マイクロプラスチックが含まれていた場合には材料の定性を行いました。
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シングルパーティクルICP-MS による炭素13 の測定:マイクロプラスチック検出の実現可能性に関する実験
炭素はICP-MS での測定が困難な元素の一つです。イオン化ポテンシャルが高いこと、プラズマ生成に用いるアルゴン(主に不純物としてCO2 の形で)や酸、水などの試薬に含まれるためです。その結果、天然に存在する炭素の同位体のいずれにおいても、極めて高いバックグラウンドが存在します。これらの炭素源は容易に除去することができないため、いずれの同位体においても検出下限が大きな影響を受けます。
SP-ICP-MS を用いることでC13 のバックグラウンドが大幅に減少し、炭素を含む粒子を検出、計測、分析することが可能になります。本テクニカルノートでは、SP-ICP-MS によるマイクロプラスチックの検出に関する原理をまとめ、測定事例を示します。
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