GC/MSの前処理装置(サンプラー)について | クロマト分析 日々のQ&A - PerkinElmer Japan

GC/MSの前処理装置(サンプラー)について

前回までにGCやGC/MSの基礎的なお話は終わりましたので、今回はGC/MSの前に接続し前処理として使用するサンプラーについて話をします。

ヘッドスペースサンプラー(HS)

 液体、固体のサンプルをバイアルビンに入れ密閉し加熱後に、バイアル瓶上部に揮発した成分を GC に導入することができます。直接導入と異なり、空気層を注入するためマトリックスの影響が少なく GC/MS の汚染を最小限に抑えることができます。
 試料のサンプリング方法はいくつかありますが、圧力バランスサンプリングであればキャリーオーバーが低減し精度の高い測定結果が得られます。
 ヘッドスペースを使用した定量分析で安定した結果を得ることができないことはありませんか?それは気液平衡、気固平衡が成り立っていない可能性があります。正確な測定結果を得るためには、平衡化が必須です。データがバラつく、検出しないなどの症状がある場合、気液平衡、気固平衡化が成り立っているか確認してみてください。
 こちらの装置では、水中の揮発性有機化化合物・医薬品などの残留溶剤・電子材料やポリマーに残留する揮発性化合物などの測定に応用でき、固体・液体でも使用可能です。

 

トラップサンプラー

 ヘッドスペースサンプラーにトラップ機能を付加したサンプラーです。基本的な原理はヘッドスペースサンプラーと同じですが、捕集材の充填されたトラップ管に揮発成分を濃縮することができ、ヘッドスペースサンプラーの 10 倍から 100 倍感度が上がります。特に食品や材料からの香気成分は、成分が濃縮され高感度分析が行えるため、トラップサンプラーがお勧めです。
 トラップサンプラーのノウハウの1つとして、トラップ管に充填された捕集材の種類の選択があげられます。この捕集材の種類により感度が大きく変わります。測定したい成分に合った捕集材を選び、濃縮測定することで高感度測定が行えます。

 

サーマルデソープション(TD)システム

 TD はガス中の成分を捕集材の充填された捕集チューブに採取、または直接試料の空のガラス管に採取し、装置内で加熱、濃縮することで高揮発性・中揮発性・低揮発性成分を前処理なし GC に導入します。
 ガス中の成分を測定する際は、試料測定時に採取したすべてのガスを測定に使用してしまうため、測定のミスをすると同じ測定が二度と行えません。そのため再捕集機能を搭載した TD は貴重なサンプルを無駄にしないためお勧めです。
 TD はトラップサンプラー同様、捕集材を利用して濃縮を行うため、分析に適した捕集材を選ぶ必要があります。
 環境分析・土壌汚染・材料からのアウトガスなど様々な分野で活用できます。

 

次回からはそれぞれのサンプラーについてアプリケーションや注意点などを交えてもう少し詳しくお話ししたいと思います。

 

また11月に開催予定のブログセミナーでは、GC や GC/MS、加熱脱着、ヘッドスペースなどの前処理装置ついて話を進めたいと思います。定性がうまくいかない、ATD、Trap サンプラーの捕集材の種類の選定方法はどうすれば?など普段困っていることに対しての質問を受け付けております。
皆様のご意見お待ちしております。

 

 

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