ICPで簡単に類似サンプルや不良品を見分ける方法 | ICP-OESラボのあれこれ | 無機分析ラボの日々のあれこれ - PerkinElmer Japan

ICPで簡単に類似サンプルや不良品を見分ける方法

 ICPでサンプル判別をする場合、定性分析が有効です。周期表上での表示を利用し、一目で違いを見分けることができます(第17回: 定性分析をどうやるか)。しかし、多量の比較サンプルがあった場合、それぞれの元素を見比べて違いを逐次見つけていく作業は困難な場合もありますので、簡単に実施するにはどうすればいいのか?

 

 たとえば、定性検出だけではなく、各元素を見る場合を考えてみます。具体例として青、緑、黄の3サンプルグループの Ca, K, Al, Fe の濃度を棒グラフで比較した事例を下記図に示します。ここで未知試料としての赤、紫サンプルはどのグループに属するかわかるでしょうか?青、緑、黄色の中でも各元素濃度にばらつきがあり、単元素では決定的に見分けることができず、複数元素を見ていく必要があります。今回の例のように4元素くらいであればなんとか判断していけますが、さらに微量濃度の元素なども含め60元素追加されたとすると、人の能力で判断することは極めて困難となってきます。何かしらの手法を使って図解し全体を理解する必要があります。

 

 そこで今回は統計解析(ソフト名:Spotfire第16回: データ解析ソフトを利用して感じた分析化学における多角度からの解析の重要性)を利用することでグループ分けをしてみました。全部のデータを一度に PCA 解析することでグループ分けが一瞬で完了します。下記図を見てみると、赤サンプルは青グループ、紫サンプルは黄色グループに属するサンプルであることが示されました(今回は分類の容易なサンプル群であったためx-yの2軸で分けることができています。3軸で表現することもできます。)。

 この手法は、グループ分けだけではなく、大量・膨大なデータを総括しての品質管理、エラー品の発見、サンプル抽出、品質改良・向上のため、複合因子の把握、トレンドの探索、ビッグデータの利用などに役立てることができると考えられます。

 

 これを発展させ、JASIS2019ではオープンソリューションフォーラムにて“「おいしさ」の見える化と機器分析” と題し、人の五感を分析機器データ群から特定していく試みについて紹介します。ご興味が沸きましたらぜひご参加ください。JASIS展示ブースでもお待ちしています。

 

無機分析に関連するセミナーも11月に開催します。こちらもチェックしてみてください。

 

 

 

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