質量分析計(MS)って何?その原理と測定方法は? | クロマト分析 日々のQ&A - PerkinElmer Japan

質量分析計(MS)って何?その原理と測定方法は?

前回は、ガスクロマトグラフの検出器について触れましたが、その中でも広く用いられている質量分析計について説明します。

質量分析計(Mass Spectrometer)

 物質は、原子や分子が数多く集まってできていて、質量をもっています。この質量を測定する装置が、質量分析計です。『イオン源』と呼ばれる部分で原子や分子を気体状のイオンにし、高真空に保たれた分析計に導かれ、質量ごとに分けられます。この検出器の測定対象物質はイオン化する全ての化合物です。
 キャリアガスとして使用されるのはヘリウム、水素、窒素などですが、昨今ヘリウムの供給が問題になっていますよね。その代替として用いられるのが水素や窒素です。安定領域が広いのは水素ですが、可燃性のため危険性が高いです。窒素は安定領域が狭いです。また水素や窒素はヘリウムと比べ感度が下がることがあります。となかなか厳しいですが、ヘリウムの純度が低いもの、99.995 %が手に入るのであればフィルターを使用して 99.9995 %なみにすることが可能ですので検討してみてはいかがでしょうか。

イオン化法の種類

 試料分子をイオン化する方法として、様々なイオン化法がありますが、ここではガスクロマトグラフに用いられるイオン化法を紹介します。イオン化には、分子をバラバラの断片にする『ハードなイオン化法』= EI と分子を壊さないでイオン化する『ソフトなイオン化法』= CI があります。
EI は、最も一般的で、フラグメンテーションによりマススペクトルが得られます。マススペクトルから、ライブラリ検索が可能で定性分析が行えます。ライブラリ検索の際はちょっとしたコツがいりますので別のブログで触れていきたいと思います。
EI でイオン化の電圧を変化させるとマススペクトルのパターンが変わります。たとえば 30 eVにするとフラグメンテーションが起こりにくくなり、100 eVにするとフラグメンテーションがより起こります。ただし NIST などのライブラリはすべて 70 eVのデータですので、他の電圧で取得したデータはマッチしないのでご注意くださいね。ちなみにCIは、ソフトなイオン化法で、分子量情報が得られやすくなります。

質量分析計の種類

 イオン化した試料は、質量分離部で分けられます。その質量分析計にも様々な種類があり、四重極型・イオントラップ型・磁場型・飛行時間型などがあります。イオンは、高真空中を飛行させないと、他の気体分子による散乱などの影響を受けるため、高真空にしておく必要があります。
ここでは一般的に使用される四重極型について少し説明します。
対になっている 2 本に直流電圧と交流電圧をかけることで、決まったイオンのみを通過させることができます。
たとえば 125 のイオンのみを通過させる設定にしておけば、それ以外のイオンは電極外へと排出されます。

検出器

四重極を通過したイオンを検出するために光電子増倍管や二次電子増倍管を用いており、イオンが金属表面に衝突すると多数の二次電子が放出され、倍数的にイオンを増幅し、そのイオンを電流としてデータ処理します。
ちなみに最近では二次電子増倍管が使用されることが多いです。光電子増倍管は真空管の中に増倍管が入っていて酸素の影響を受けにくく長寿命という利点がありましたが、高価、ダイナミックレンジが狭いという欠点もありました。その一方で二次電子増倍管は安価、広いダイナミックレンジという利点があり、さらに最近では装置の真空度もあがり酸素の影響も減ったため二次電子増倍管に移行しています。・・・安価が一番の理由かもしれませんが(笑)

測定の種類

GC/MS の測定モード(四重極型)には3種類あります。

  1.  Scan 測定
    任意の質量範囲をスキャンして、その範囲の全イオンをモニターしますので定性分析に利用できます。(マススペクトルが得られる)
  2. SIM 測定
    モニター m/z を設定して、そのイオンのみをモニターする測定モードで、イオンを指定するので高感度分析が可能となり、定量分析に使用されます。
    SIM のイオンを選ぶときは、強度の高いイオン、できるだけ高質量側、他の物質のイオンとは異なるイオンを選ぶことをお勧めします。
  3. Scan-SIM 同時測定

ちなみに、GC から溶出した成分のピークのデータポイントは、1 ピークあたり10 点程度のデータポイントがあると、ピーク形状が良く、再現性も良い結果がえられますので、それにあわせてスキャン速度を調整すると良いですよ。

 

今回で GC/MS に関する基礎的なお話は最後になります。

次回からは GC/MS の前につなげて使用する前処理装置の選択方法やノウハウ、GC/MS のコツなどについて書いていきたいと思います。
また11 月には、このブログに関するセミナーを予定していますので、ふるってご参加ください。

 

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