あなたの調製した検量線用標準液は問題ないですか? | ICP-MSラボのあれこれ | 無機分析ラボの日々のあれこれ - PerkinElmer Japan

あなたの調製した検量線用標準液は問題ないですか?

今回もICP-MSに限らず、原子吸光法(AAS)やICP発光分光分析法(ICP-OES)なども含め共通の話題をお話ししたいと思います。

今回の、タイトルは“あなたの調製した検量線用標準液は問題ないですか?”です。

 

誰もが大丈夫!!!って胸を張って答えてほしいですよね。
基本的にはAASやICP-OES、ICP-MSは検量線が無いと定量できません。
したがって、検量線が間違ってしまった段階で、どんなに高価で性能の良い装置を使用しても絶対に正しい値は得られないのです。
特にICP-OESやICP-MSは多元素を瞬時に測定することが出来ることから、検量線用標準液も多元素を含む溶液を調製すると思います。

 

ここで、単一元素の標準液を混合して調製する場合と混合標準液を用いて調製する場合があると思います。
例えば、単一元素の標準液において、Fe, Ni, Cu, K, Crを混合して検量線を作成したところ、すべての元素で良好な直線性のある検量線が出来ました・・・というところで喜んでいると、ここに落とし穴があったりします。
標準液の種類にもよりますが、Crの標準液を良く見てみると、K2Cr2O7 から調製されていました・・・つまり、Kが含まれていたのです。したがって、Kの濃度は調製値よりも高くなっていたのです。
こうした組み合わせは、意外と多いのです。

 

また、容器には書いていませんが、混ぜては良くないもの・・・例えば硫酸ベースのTiとPbの標準液、塩酸ベースのAsとAgの標準液・・・といった沈殿を生じるもの。
単一元素の溶液は混合の際に問題が無いかを確認しましょう。
例えば、単一元素の溶液を混合せず1元素のみで調製した検量線で、複数の単一元素の溶液を混合した標準液を測定して調製した値が得られるかを確認してみましょう!

 

 

 

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