液体気密IRセルを使用した測定について | FTIR Blog - PerkinElmer Japan

液体気密IRセルを使用した測定について


図1 液体気密セル

液体試料をFTIRで測定する場合、液体気密IRセル(図1)を使用します。
この液体気密IRセルは、液体サンプルおよび溶液の定量分析、および低沸点液体の定量分析に使用できるので、便利です。

しかし、液体気密IRセルを使用する場合は、どんな場合にも使用できるわけでなく、セルの窓材の考慮が必要です。例えば、最も使用頻度の高いNaCl, KBr, Cslなどの窓材を使用した液体気密セルは、窓材の水に対する溶解度が高く、水や低級アルコールを含む溶液には向かないため、水に不溶の窓板のセレン化亜鉛(ZnSe)等を使用します。急いでいると忘れがちですが、窓板は測定する波数範囲にも注意しないとならず、例えば、窓材のNaCl は640 cm-1までしか透過しません。640 cm-1より低波数領域を測りたい場合はKBrなど他の窓材を選ぶ必要があります。

使用するセルの厚さは結果に影響します。例えば、図2に窓材にKBrを用いセルの厚さを変えたときのスペクトル変化を示します。
図2では、純度の高いサンプルでセルの厚さ0.025 mmを使用すると一部スペクトルが飽和(この現象を業界人は”サチる”と言います:saturate, saturation)してピークトップが見えません。これは濃度が高すぎるためで、サチらない様に測定するにはセルの厚さをさらに薄くするか、溶媒で希釈すると解消します。一部のスペクトルがサチッても問題ない場合や小さいピーク(例えば2440 cm-1付近のピーク)を注目して見たい場合や濃度が低いサンプルを測定する場合は、セル(の厚さ)が厚いものを使用するなど、液体の定量する場合にはサンプル条件に合わせてセルを変えていますし、温度の影響が出る場合にはセルの温度制御も必要になります。


図2 セル厚を変えたときのスペクトル(純アセトン)

 

一見、簡単そうなアクセサリーが増えるのはこんな理由です。選択肢が多いアクセサリーの使い分けをいつも悩みながら測定条件を探しています。

 

 

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