熱分析を操ることになってしまった話 | 熱分析屋さんのつぶやき - PerkinElmer Japan

熱分析を操ることになってしまった話

新型コロナ感染症で社会環境が変わっても相変わらず熱分析を続けている熱分析屋さんのつぶやき筆者です。
今回は4月ということで、まずは最初に
新社会人、新入学のみなさん おめでとうございます。

新しいことが始まる4月パーキンエルマーのホームページも更新されました。ブログコーナーのアクセストップ5は理由があってのトップ記事なので...バラバラな記事の様に見えていても重要な情報があったりしますし、自分には関係ない内容と思いつつも読んでみると面白いかも、です。

 

さて、なぜか熱分析に関わることになってしまったみなさん、筆者が経験したのと同じようにこれから大変な思いをすると思います。熱分析を覚えるために

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もあるので、参加するといいかも、です。
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さてさて、本題。
熱分析って名前は分析ですけど...DSC、TG-DTA、TMA、DMA 以外にも技法があります。それを全部くくって“熱分析”と分類してしまっていいのだろうかというのが筆者の素朴な疑問です。多くの場合、熱分析を使えば「温度」がわかるって教えてもらえるのではないかと思います。JIS K 0129には

「物質の温度を一定のプログラムによって変化させながら、その物質のある物理的性質を温度の関数として測定する一連の方法の総称」

と書いてあります(一部抜粋)が、なかなかに難しい。温度が解るとは書いてないです。

 

筆者も最初の頃、DTA や DSC の場合だと温度差で温度を知るってどういうこと?って意味が解らず悩みました。ある温度のとき(温度を変えたり、同じ温度だったりしたとき)に温度が変わる前から試料の硬さ、長さ、質量...が変化するかを知ることができる、と考えて、まずは典型的なパターンから覚えた方が早いかもしれません。
図1、図2に典型的なパターンを示してみました。


図1 ベースラインの高さが変わる場合の例

 


図2 ピークが観察される例

 
熱分析って試料に何か変化が起きれば、変化の起きた温度と変化の起きる前後で違いがあったと判断できるし、変わらなかったら変わらないといった情報が得られる手法って考えても間違いではないかも。時間が変わっても何も変化しないか、何かが変化するかを見ているので、“プログラムによって変化させながら”は時間と温度、“物理的性質を温度の関数”は前後の違いを言っているのかな?くらいで読むといいのかも、と思ったりします。
高さが変わるシフト(図1)、ピーク(図2)などが出てきます。状態が変わったことがわかるためには、変化前後の状態(ベースライン)を読む必要があって、変化前後の状態を考えないと意味が解らなくなります。ここが熱分析の面倒なところです。

昇温したり降温したり等温したりすると、ピークとシフトが出てきて別の状態からさらに別の状態になるのでややこしい。
最初は熱分析って本当によくわからないので

  • 昇温してピークが吸熱なら融解、分解。そのあと冷やしたら発熱したらほぼ結晶化、凝固。
  • 昇温して減量したら分解か燃焼。
  • 昇温したあと冷却して、長さが戻ったら融解していない。

あたりの情報だけで熱分析をスタートしてもいいんじゃないかと。

 

熱分析を始めるのであれば、変化の前後の意味がものすごく重要になるし、熱分析にほとんど共通する情報なので、熱分析で得られるパターンとこの前後で何かしらの状態が違っていることを最初に覚えるといいんじゃないかと思ってます。
もう少しだけ突っ込んだ話はこの“熱分析屋さんのつぶやき”の過去の回にありますけど。毎回のことですけど,“つぶやき”なので詳しく書ききれないです...

 

次回の更新の9月は熱分析の測定手順で。
では、次回“DMA取っておけばよかった”でお会いしましょう。

 

 

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