ここではICP質量分析法(ICP-MS)に関する情報を皆さんにお話ししていきたいと思います。
しかし、その前に・・・
ICP-MSに限らず、原子吸光法(AAS)やICP発光分光分析法(ICP-OES)なども含め共通の話題をお話ししたいと思います。
今回の、タイトルは“あなたの調製した1 %硝酸は何%硝酸?”おかしな質問かも知れませんが、これが測定において大きく影響を与えることもあるのです。
皆さんは1 %硝酸と聞いてどのような前処理方法を思い浮かべるでしょうか?
濃硝酸を1 mL採取して、超純水にて100 mLに希釈しました。これって1 %硝酸ですね。
または、今回用いた濃硝酸は60 %なので60 倍希釈しました。これも1 %硝酸と言えるでしょう。
しかし、ここに1.5 倍以上の濃度差が生じてしまいました。
因みにICP-MSにおいてこの2 つの硝酸濃度で検量線を作成すると元素によっては10 %以上の感度差が生じることもあります。酸濃度によってはもっと大きくなることもあるでしょう。
勿論、試薬ブランクも1.5 倍以上異なります。
基本的にはブランク溶液、検量線用標準液、サンプルの前処理、すべての溶液に対して、同じ酸の容器から同じ量を採取することが重要ですが、検量線用標準液を調製する人とサンプルを前処理する人が異なる場合には、どの容器から何 mL採取して、超純水で何 mLに希釈しました・・・などと正確に報告することが重要です。
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あなたの調製した検量線用標準液は問題ないですか?