Drug Discovery & Development, Imaging, Innovation Spotlight, Life Sciences

致死の原因
世界中のどこかでは3 分に一人、出産を終えた妊婦たちが出血多量により亡くなっています。喜ばしいイベントであるはずの子供の誕生が同時に分娩出血により年間140,000 人もの女性の命を奪っているのです。1 出産直後の母親の死因をけん引しているのは年間約6 %に上る母体からの分娩出血で、後進国に限っては死因の30 %以上になります。2
なぜこのような格差が起こるのか?近代的なインフラの不足と医療提供不足によると考えられています。 医療施設が少ない又は通院できる場所になく、治療薬不足や電気事情が悪い場所に住んでいる人達は世界中で12 億人おり、多くの女性たちは産科を受診することができていません。3 これらの意味することは、分娩出血を止める止血剤であるオキシトシンホルモン剤の投与がなされていないということです。理由は明確で、ホルモン剤の保存が冷凍でなければできないからなのです。 最近のウガンダでの調査によると気温によるオキシトシンホルモン剤の劣化は74 %以上であることがわかっています。また後進国における自宅出産や設備不足の医療機関での出産での医療従事者の筋肉注射の技術不足も問題となっています。 4
発見の瞬間
オーストラリアのモナシュ大学の助教授でモナシュ薬学研究所(MIPS)の薬学研究者の Michelle MacIntoshのオキシトシン問題を解決しようとする情熱の発端は、2007 年に大学が購入したパーキンエルマー社の分析装置とボツワナ出身の大学院生からの手紙から始まっています。 今日でも使用されているこの装置は彼女とそのチームが行った世界おける分娩後出血の厳しい現実を取り除くための行動の手助けをしています。卒業生から手紙はどういったものだったのでしょうか?
"彼女は薬物動態学、生物学同等性評価と分析技術に興味を持っていて勉強したいと言っていました。" McIntoshはそのことをよく覚えていました。 その生徒のために彼女は同僚達と一緒にプロジェクトの可能性を話し合い始め、吸入用のドライパウダーのエキスパートである Dr. Richard Prankerdの提案によりオキシトシンを吸入できるような形態にさせる挑戦をすることにしました。 これが成功すれば冷凍保存する必要もなく、注射器針も、医療的な技術も必要なくなるからです。オキシトシンは自己投与できる使い捨て経鼻薬になるでしょう。 5
世界的レベルのラボを作る
この日からMcIntoshと調査チームは妊婦向けのオキシトシンの自己投与経鼻薬開発への大きな一歩を踏み出しました。彼らはいくつかの名誉ある世界的な賞とビル&メリンダ・ゲイツ財団からの援助を含む、助成金を受け取りました。チームがこの研究を行っている間中、パーキンエルマー社の装置をオキシトシン プロジェクトに使用しておりモナシュ薬学研究所(MIPS)は世界的、革新的な研究所であるとともに素晴らしい薬学研究所であるという評価を受けました。
モナシュ薬学研究所(MIPS)とMcIntosh氏に素晴らしい賛辞や世界中から注目されるなか、製薬会社でオキシトシンを噴霧式のスプレイとして開発することを着手されることになりました。彼女と彼女のチームが科学、最新式装置でやりとげたことが世界に認められたのです。
"私達はパーキンエルマー社のDSC 8500 [示差走査熱量分析装置]をオキシトシン調剤のガラスへの移行の調査に使用しました、ガラス素材の熱量の幅はポリマー素材のものより調整が難しいものなのです。" Dr. McIntosh のラボでは多種多様なパーキンエルマー社の装置がこのオキシトシン プロジェクトの際に使用されました。彼女が“ハイブリッド装置構成”と表現するのは Frontier™ IR/FIR Spectrometer, Clarus® 680 GC, AxION® iQT™ GC/MS/MS のことですが、"この装置構成おかげで熱による蒸発と気化の調査がうまくいきました。"と彼女は述べています。
Spotlight 400 FT-IR(IRイメージングシステム)では“乾燥させた状態で噴霧する材料の同一性について調べ、” Janus® Integrator platformでは“オキシトシンの大量のサンプルを薬物動態研究のため分注しました” 長期にわたりパーキンエルマー社の装置はこのプロジェクトにかかわり続けました。
今日、グラクソスミスクライン社を含む製薬大手が去年の新しい分娩出血治療の研究の開発の成功を受けて手助けしています。6 いままでのところ、オキシトシンのスプレイ方式の試作品では既存のオキシトシン治療と同じ効果が得られています。
McIntoshは“私達の調査したことが世界の人々のことを救えると思うと、毎日の実験のモチベーションとこの仕事を続ける原動力になっています。”と話しています。
* こちらの装置は研究目的のみの使用となっております。臨床検査にお使いにはならないでください。
参考文献
- John R Smith, MD; Chief Editor: Ronald M Ramus, MD, et. al., "Postpartum Hemorrhage," Medscape.
- awole B, Awolude OA, Adeniji AO, Onafowokan O. "WHO Recommendations For The Prevention Of Postpartum Haemorrhage: RHL Guideline," (last revised: 1 May 2010). The WHO Reproductive Health Library; Geneva: World Health Organization.
- The World Energy Outlook, WEO Electricity Access Database, 2015.
- Michelle McIntosh, "Tackling Postpartum Haemorrhage," Monash University, 2013.
- Kashyap Patel, "Tackling Postpartum Haemorrhage," Monash University, Monash Institute of Pharmaceutical Sciences, 2013.
- GSK, "Innovation And Collaboration With Monash University," GlaxoSmithKline Press Release, 2016.