液体シンチレーション計測法により測定される多くの放射性生体サンプルは、シンチレーションカクテルだけでは溶解することができません。そのため、放射性サンプルを再現性よく測定できる均質な状態にするために、液体シンチレーション計測に特化したアルカリ性の可溶化剤を用いるのが効果的です。また、シンチレーションカクテルにアルカリ性溶液を添加した場合、強いケミルミネッセンスを生じますので、ケミルミネッセンスの消光の早いカクテルHionic-Fluorの使用を薦めます。
可溶化剤の性質
製品名 |
品番
パッケージ |
主溶媒 |
引火点 |
危険物等級 |
Soluene-350 |
6003038
500mL |
トルエン |
6℃ |
危険物第四類、第一石油類、
非水溶性液体、危険物等級II
危険物データベースNo. 4021-160755
|
SOLVABLE |
6NE9100
500mL |
水 |
なし |
該当せず |
Hyamine Hydroxide 10-X |
6003005
500mL |
メタノール |
18℃ |
危険物第四類、第一石油類、
水溶性液体、危険物等級II
危険物データベースNo. 4022-160777 |
製品
Soluene®-350
Soluene-350はトルエンベースの可溶化剤で水を含んだ組織やそのホモジネート、タンパク質、核酸やセルロースアセテートフィルターの可溶化に適しています。
特長
- 組織ホモジネート、全血や血漿、脳やポリアクリルアミドのような含水率の高いサンプルに最適
- 50 - 60℃で加熱することで可溶化に要する時間を短縮可能
- ケミルミネッセンスを最小限に抑制
- Hionic-Fluorでの計測に適する
SOLVABLE™
SOLVABLEは、水を含んだ組織及びそのホモジネート、タンパク質、核酸の可溶化に優れた水溶性の可溶化剤です。植物由来サンプルを除くほとんどのアプリケーションで、Soluene®-350の代わりに用いることができます。
赤血球を含むサンプルの可溶化では、Soluene-350やHyamine hydroxide 10-Xに比べ色クエンチングが生じ難くなっています。
特長
- アガロースまたはポリアクリルアミドゲルからのサンプル抽出が可能
- 組織のホモジネートや血液の迅速な可溶化
- 酵素アッセイで生じた[14C]CO2の効果的な捕集
- ケミルミネッセンスを生じ難い
- UltimaGold あるいは Hionic-Fluor と相性が良い
ケミルミネッセンスの減衰
0.5 mLの血液をSOLVABLE(1 mL)で可溶化、EDTA Na
2と過酸化水素を使い脱色したサンプルに、Hionic-Fluorを加え、15℃、Tri-Carb 2550 TR/AB(0 to 18.6 keV window)により測定
経過時間 |
Hionic-Fluor |
2 min |
341 cpm |
5 min |
113 cpm |
10 min |
80 cpm |
20 min |
41 cpm |
1 hour |
23 cpm |
t-SIE( 10 mL ) |
189 (= 25 %) |
t-SIE( 15 mL ) |
218 (= 27 %) |
状態 |
Slightly hazy & slightly Yellow* |
*15 mLのHionic-Fluorを用いると透明な溶液となる。
Hyamine Hydroxide 10-X
Hyamine Hydroxide 10-Xは、四級水酸化アンモニウムのメタノール溶液で、可溶化剤や[14C]CO2捕集剤として使用できます。10 mLのHionic-Fluorでは5 mL、10 mLのEmulsifier-Safeでは3 mLのCO2で飽和したHyamine Hydroxide 10-Xが測定できます。
特長