原理
Alphaテクノロジーは、ドナーとアクセプターの2つのビーズを使用します。
ドナービーズに結合した分子が、アクセプタービーズに結合した分子と生物学的に相互作用し、2つのビーズが近接した状態の時にのみ、発光シグナルを検出することができます。レーザーによって励起されたドナービーズ内のフォトセンシタイザーは、周辺の酸素を励起状態の一重項酸素に変換します。一重項酸素はドナービーズ周辺に拡散し、近接しているアクセプタービーズに到達するとビーズ内の化学発光反応を引き起こし、最終的に光が放出されます。ドナービーズに結合した分子とアクセプタービーズに結合した分子が相互作用しないときは、ドナービーズの産生する一重項酸素がアクセプタービーズに到達しないため、化学発光反応は起きません。
Alphaビーズ
フォトセンシタイザーを高濃度に含むドナービーズは、1秒間に60,000個もの
一重項酸素を発生させます。その結果、シグナルが大きく増幅され、アトモルレベルの検出感度が得られます。 |
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アクセプタービーズ内のチオキシン誘導体は、一重項酸素分子と反応して化学発光反応を開始します。この反応から生じた発光エネルギーは、同じビーズ内にある蛍光物質に転移され、AlphaScreen アクセプタービーズでは520 ~ 620nm、AlphaLISAアクセプタービーズでは615nmの光が放出されます。 |
Alphaビーズの直径は小さく、約250 nmです。これは、FMAT(6~20 μ)などのビーズベースのアッセイで使用するビーズと比べて、はるかに小さなものです。ゆえに水溶液中では、ビーズは安定的に分散した懸濁液となり、数時間で沈殿してしまうことはありません。 ビーズはポリスチレン製で、非特異的な結合を抑えるためにデキストランポリマーでコーティングされています。ビーズ表面に各種生体分子を結合させるときには、デキストランのアルデヒド基を利用します。 1個のビーズの表面には、ストレプトアビジンであれば約3,000分子、IgGであれば約300分子がコーティングされます。
*測定機器として、EnVsion (Alphaオプション)、EnSpire Alpha、EnSpire AlphaPLUSのいずれかを必要とします。
検出波長
アクセプタービーズには、異なる蛍光色素を含む4種類のビーズがあります。それぞれ検出波長が異なるため、マルチプレックスアッセイや、サンプルの種類によって使い分けることが出来ます。特に、血清・血漿を使用したアッセイのために開発されたAlphaLISAアクセプタービーズは、血清・血漿サンプルの蛍光バックグラウンド(300-600 nm)やオキシヘモグロビンの吸収(<600 nm)による干渉を回避した波長域を持ちます。またAlphaScreenアクセプタービーズに比べ検出波長域も狭く、強い光が検出されます。
- AlphaScreen (Rubrene; Em. 520-620 nm):
バッファー溶液・細胞培養上清・細胞溶解液サンプルに適します。
- AlphaLISA (Europium; Em. 6 25-623 nm):
血清・血漿・バッファー溶液・細胞培養上清・細胞溶解液サンプルに適します。
- AlphaPlex 545 (Terbium; Em. 515-555 nm):
マルチプレックスアッセイで使用します。AlphaLISAに続く2色目のビーズです。
- AlphaPlex 645 (Samarium; Em. 645 nm):
マルチプレックスアッセイで使用します。AlphaPlex 545に続く3色目のビーズです。
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特長
簡易 |
分離・洗浄ステップの必要が無い“Mix & Measure”アッセイです。 |
非放射性 |
RIを使用するときのような特別な試薬操作や廃棄の必要がありません。 |
低バックグラウンド |
・680nm という長波長の励起光と、それよりも短い 520~620nm の放出波長の組み合わせは、アッセイ成分の干渉(内部フィルター効果)を受けにくく、バックグラウンドが非常に低くなります。
・シグナルの時間分解測定により、励起光照射直後に発生する蛍光に伴うバックグラウンドを低減します。 |
高感度測定 |
各ドナービーズから発生する60,000個もの一重項酸素分子により増幅されたシグナルは、多くの生物学的アッセイでアトモルレベルの検出を可能にしました。 |
広いダイナミックレンジ |
sub-nM レンジはもちろんのことµM レンジまでの親和性の相互作用の検出が可能です。 |
低分子から高分子まで検出可能 |
ビーズは 200nm の範囲内で検出されます。この距離は非常に複雑な組み合わせの相互作用を、非常に単純に検出することを可能にします。 |
自動化が可能 |
ビーズは極微小(直径250nm)で、沈殿したり分注ヘッドに詰まったりすることが無く、分注操作の自動化が容易でHTSに理想的です。 |
少量化が可能 |
試薬濃度を変えたり、感度を落としたりすることなく、簡単に 96-、384-そして 1536-ウェルフォーマットに適応可能です。アッセイはほんの数?L で行うことができます。弊社のトップシールA (粘着シールフィルム)はサンプルの蒸発を防ぎ、貼ったままで測定することが可能です。 |
高い汎用性 |
多くの生物学的相互作用(酵素・レセプター・リガンド相互作用・低親和性相互作用・セカンドメッセンジャーレベル・ DNA・ RNA・タンパク質・ペプチド・糖・低分子)のアッセイを行うことが可能です。 |
低コスト |
アッセイは試薬の使用量を抑えることにより、ウェルあたりの試薬コストを数円にすることが可能です。 |
製品リスト
培養細胞だけでなく血清・血漿中のターゲット分子の検出が可能な製品です。ホルモンや抗体、その他複合体分子の検出など、これまでELISAで行っていた実験を洗浄ステップを踏むことなく、混ぜるだけで行うことができます。
分子間の相互作用検出を目的とした、ビーズベースの高感度な Mix & Measure アッセイであり、サンドイッチイムノアッセイによって細胞内在性のプロテインキナーゼ活性を簡単に検出することができます。
異なる発光波長のアクセプタービーズにより、1 ウェル内で複数のターゲットを検出します。
Alpha バインディングアッセイ
リガンドと受容体の結合を検出するアッセイキットです。阻害物質の探索等にご利用頂けます。
がん
タンパク分解
ウイルス
その他
Cellular Thermal Shift Assay (CETSA)は、細胞と化合物をヒートショック処理し、化合物結合による標的タンパク質の熱安定性変化を測定することで、ターゲットエンゲージメントを数値評価する手法です。
抗体などが未結合(Unconjugated)のドナー・アクセプタービーズやストレプトアビジン-ドナービーズなどを利用して、キットで販売されていない独自のアッセイを構築できます。