CHROM FAQ一覧 - PerkinElmer Japan

FAQ -ガスクロマトグラフ分析-

Q1. 農薬分析などスプリットレス分析でブランクがなかなか消えません。どうすればブランク量を減らすことができますか。

ブランク原因(試料は除く)とその対策は次の通りです。

  1. カラムのエージング不足:液相の特性を考慮して十分エージングする。
  2.  注入口インサートの汚れ:インサートを取り出し、洗浄する。
  3. 注入口セプタム:セプタムパージ流量を確認する。
  4. インサート用O-リング:耐熱性で低ブリードのO-リングを用いる。

O-リング材質の違いで大きく異なる例を図1に示します。また、十分にコンディショニングした状態のブランクの例を図2に示します。フタル酸エステルのブランク量を0.1pg以下に押さえることができます。

O-リング材質の違いとブランク
図1 O-リング材質の違いとブランク

コンディショニングされた状態のフタル酸エステルのブランク量
図2 コンディショニングされた状態のフタル酸エステルのブランク量

 

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Q2. 有害大気物質の測定をしたいと思っていますが、どのようなシステムが必要でしょうか?

有害大気物質の測定は、あらかじめ吸着剤が充填された管にポンプを使って捕集します。捕集された管を加熱脱着し、GC/MSに導入します。したがって、これらの工程を処理する捕集ポンプ、熱脱理装置、GC/MSが必要です。パーキンエルマージャパンでは、これら一連の装置を販売しておりますので、システマチックにシステムを構築できます。

 

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Q3. TurboMatrix (ATD)
TurboMatrix TD, ATDはトラップ管をどういう方法で冷却していますか?

電子冷却方式を採用していますので、液体窒素などの冷媒を使用しなくても、トラップ部は-30℃から50℃まで制御可能です。トラップ管の吸着剤に応じて適切な温度設定が可能になっています。また、冷媒が不要なのでランニングコストに大きなメリットがあります。

 

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Q4. TurboMatrix (ATD)
補集チューブのコンディショニング方法について教えて下さい?

TurboMatrixTD、ATDは装置本体のみでのチューブのコンディショニングが可能です。もちろん内部のトラップ管を汚染しません。TurboMatrixTD、ATDは通常分析時には2段階脱着モードに設定しますが、補集チューブのコンディショニン グを行う時にはモードを選択するだけでコンディショニングが可能になります。

 

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Q5. TurboMatrix (ATD)
加熱脱着法だとサンプルが熱分解してしまわないでしょうか?

TurboMatrix TD、ATDはまずチューブを脱着位置にシールした段階でリークのテストを行います。これにパスしないチューブは脱着は行われず、カルーセルに戻されます。更に加熱脱着の前段階でチューブ内を1分以上(任意設定可能)パージします。
この機能によって補集チューブ内の吸着剤は保護され、空気や水によるサンプルへの影響は低減されます。

 

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Q6. TurboMatrix TD, ATDで微量の環状ジメチルシロキサン、フタル酸エステルなどを分析するとき、システムブランクが問題になります。どうすればブランク量を減らすことができますか。

ブランク原因には、キャリアーガスおよび配管系、カラム液相、チ ューブ材質、ウール材質、O-リング材質、捕集剤、トラップ剤などが考えられます。これらをコンディショニングすることで微量分析が可能です。その例を図1に示しま す。環状ジメチルシロキサン(D3、D4、D5、D6)各1ng検出後のブランク量をpgオーダーまで落とすことができます。

環状ジメチルシロキサンの微量検出とシステムブランク
図1 環状ジメチルシロキサンの微量検出とシステムブランク

 

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Q7. 熱脱着(TD法)はどのような分析に利用されますか。

空気中あるいは固体試料中の揮発成分の分析を目的として、環境、食品、医薬品、工業材料(ポリマー、複合部品など)、電子材料関連などの分野に利用されています。
サーマルデソープション(熱脱着)システムTurboMatrixATDは、環境大気、室内空気汚染、作業環境有機溶剤、排出ガス、クリーンルームなどの空気中のサブppbからppmオーダーの揮発性有機物(VOC)の定量分析に多くの実績を持っています。図では、居住住宅の室内空気汚染物質の測定例です。厚生労働省より指針値の出ている7成分を含む多くの物質が検出されています。

居住住宅の室内空気汚染物質
居住住宅の室内空気汚染物質

 

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Q8. 空気中の微量揮発性有機物の分析に固相吸着―加熱脱着(チューブ法)が有効とされていますが、その理由は何ですか?

空気中の微量揮発性有機物の分析には、固相吸着-加熱脱着(チューブ法)、 固相吸着-溶媒抽出(溶媒抽出法)、容器採取-加熱脱着(キャニスター法)の3法がありますが、表に示すようにチューブ法が最善の方法であることがわかります。特に、製品TurboMatrix ATD/TDシリーズはパーキンエルマー独自の装置で、2次トラップに液体窒素などの冷媒を使わない、ペルチェ方式(電気で冷やす)であるため、50サンプルの自動分析を行なうことができます。作業環境中の有機溶剤、大気中の揮発性有害物質、土壌ガス分析、室内汚染物質分析、クリーンルームの有機物質などの分析に多く利用されています。

  チューブ法 溶媒抽出法 キャニスター法
対象VOC分析
(微量分析は困難)

(微量分析は困難)
低沸点極性成分 微量分析は困難
( 溶媒と重なる)
成分により難しい
(容器表面に吸着)
高沸点成分  
(フタル酸エステルなど)

(極微量は不可:ブランク)

(極微量は不可:ブランク)
不可
(容器表面に吸着)
ブランク/
コンディショニング
チューブの汚染に注意 チューブの汚染に注意 容器の洗浄が不可欠
サンプリング量 調整できる
(1~20L)
調整できる
(約100L)
一定量
(6L)
再分析 不可
(対策:二重採取)
再使用 不可
イニシャルコスト
ランニングコスト
(捕集管は再使用)

(捕集管は再利用不可)

(容器は毎回洗浄、運搬)
分析による環境負荷 低い 有害物質CS2を抽出に使用 低い

 

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Q9. 空気中のフタル酸エステル(PAEs)分析に固相吸着-加熱脱着法(チューブ法)が有効な理由は何ですか?

フタル酸エステル(PAEs)は沸点が高く、吸着性が高いことから、分析の難しい物質です。
室内汚染、クリーンルームなどの空気中に存在するフタル酸エステルのサンプリング法には、固相吸着-溶媒抽出法、固相吸着-加熱脱着法(チューブ法)および容器採取-加熱脱着法(容器法)などが挙げられます。
溶媒抽出法は、サンプリング・溶媒抽出・GC/MSの各段階において生ずるブランクの問題が大きな障害となることと、採取した試料の1/1000程度しか分析カラムに注入できないことから、低濃度分析が困難です。容器採取法は、PAEsが容器内表面に吸着されやすく、容器からの回収が困難であるため、PAEs分析には向きません。これらの方法に対し、チューブ法が最も有効な方法と言えます。
その理由は、試料空気を直接チューブに採取・濃縮することから、目的の濃度に応じて採取量を調節できることと、採取した試料のほぼ全量を分析カラムに導入できることにあります。クリーンルームなどng以下の極微量を分析する場合では、ブランクの低減に細心の注意を払わなければなりません。
TurboMatrixATD-GC/MSによるPAEsの分析例を図に示します。

TurboMatrix ATD-GC/MSによるPAEsの分析例

 

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Q10. 固相吸着-加熱脱着法(チューブ法)を用いた空気中の揮発性有機物(VOCs)分析のサンプリング方法と分析例を挙げてください。

固相吸着-加熱脱着法(チューブ法)は、作業環境、環境大気、土壌汚染、室内汚染、クリーンルームなど、空気中に存在する揮発性有機物の分析に広く利用されています。
一般的には、図1に示すように、定流量ポンプを用いて一定時間サンプリングすることにより一定量を採取します。
このとき、例えば有害大気汚染物質の分析では、10mL/分の流速で24時間(14.4L)、室内空気汚染物質の測定では、50mL/分の流速で30分間(1.5L)など、分析目的に応じた条件でサンプリングします。
有機溶剤を使用する作業環境空気の分析では、管理濃度が高いことおよび試料件数が多いことから、図2に示すように100mL程度のシリンジで吸引して採取するのが作業効率を上げる有力な方法です。
図3に、低沸点の極性成分を含む有機溶剤の分析例を示します。土壌ガス分析では、ボーリングした小さい空間のガスをサンプリングしますので、図4に示す拡散(パッシブ)サンプリング法が有効な方法と考えられます。


サンプリング図

 

作業環境中のよく見られる有機溶剤のチューブ法による分析

 

土壌ガスの拡散(パッシブ)サンプリング

 

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Q11. TurboMatrixヘッドスペースサンプラーやサーマルデソープションシステムは、他メーカーのGCでも使用できますか?

可能です。もちろん測定には何の影響もありません。ただし、取り付けには専用のアダプターを必要とする場合がありますので、GCの機種名をご確認の上、弊社営業本部までご相談ください。

 

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Q12. TurboMatrix(ALL)
TurboMatrixシリーズは本体のタッチパネルからの操作が可能ですが、PCからの制御は出来るのでしょうか?

Windows環境でシリアルポートを備えたPC上から温度、タイミングなどのパラメータ設定、操作が可能です。

 

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Q13. TurboMatrix HS
TurboMatrix HSシリーズの処理検体数はどれくらいですか?

TurboMatrixHSシリーズは検体数により、それぞれ16,40,110検体の一斉分析が可能です。TurboMatrix40、110はバイアルのオーバーラップ加熱により、分析に要する時間を最小限に短縮できます。また各装置は検体数のアップグレードが可能です。

 

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Q14. TurboMatrix HS
ZDLとは何ですか?

ZDL(Zero Dilution Liner)はパーキンエルマーのガスクロマトグラフ:AutoSystem XL及びClarusGCシリーズにのみ備えられる、TurboMatrix HSから注入されるサンプル量の希釈を最小限にする注入システムです。
TurboMatrix HSは他社製のGCにも取り付け可能ですが、この機能をそなえているGCはAutoSystemXL及びClarusGCシリーズだけです。

 

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Q15. ヘッドスペース(HS)法はどのような分析に利用できますか。

液体試料あるいは固体試料中の揮発成分の分析を目的として、環境、食品、医薬品、工業材料(エマルジョン、ポリマー、複合部品など)などの分野に利用されます。気液平衡あるいは気固平衡が成立する場合は定量を行うことができます。また、固体・複合材料などで平衡が成立しない試料であっても、一定条件下でのアウトガスの分析により、材料研究あるいは品質管理・工程管理に利用されます。
ヘッドスペースサンプラーTurboMatrix HS40は飲料水、環境水中のサブppbからppmオーダーの揮発性有機物(VOC)の分析に多くの実績を持っています。ここでは、トナー中のアウトガス分析の例を示します。MHE法により定量した結果です。

トナー中のアウトガス分析例

2.Butanol 3.Toluene 5.n-Buthylether 6.Styrene 7.i-Propylbenzene
8.n-Propylbenzene 9.Ethylacetate 10.n-C9 11.Benzylalcohol 12.Acetophenone
トナーのアウトガス

 

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Q16. パーキンエルマーの圧力バランス式ヘッドスペースサンプラーは非常に有名です。その特長を教えてください。

HS分析では、試料バイアル内で平衡化した空気相の一部を分離カラムに導入しますが、その際組成比を変えることなくカラムに導入できるサンプリング方法が装置の良否を決めます。
サンプリング方法にはシリンジ法、ループ法、圧力バランス法の3法があります。
表に示す比較表からもわかるように、圧力バランス法が最善の方法であることがわかります。
圧力バランス法を採用した製品のTurboMatrix HSシリーズはパーキンエルマー独自の装置です。

サンプリング方式 圧力バランス方式 ループ方式 シリンジ方式
メーカー パーキンエルマー A社 B社 C社
総合的評価 ◎高い △中程度 ×低い
サンプル処理能力 ◎高い △中程度 ×低い
精度・信頼性 ◎高い △成分による ×低い
吸着性 ◎ほとんどない △成分によりある ×ある
コンタミネーション ◎少ない
(流路が単純)
△ある
(流路が複雑)
×ある
(ガスタイトシリンジに残る)
保守性 ◎簡単 ×面倒 ×面倒
サンプリング量の
変更
◎簡単 ×面倒 △簡単
(シリンジのサイズで制限)
定量法:外部標準法
      :標準添加法
      :MHE法 ◎簡単 ×難しい ×不可能

 

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Q17. Turbochrom/TotalChrom
IVMとは何ですか? Turbochrom/TotalChromとはどの様な関係ですか?

500シリーズIVMモジュールはNISTにトレーサブルな基準信号発生装 置です。AD信号電圧の直線性などのチェックに使われクロマトグラフ分析のバリデーション環境をサポートします。使用にあたりTurbochrom/TotalChrom上で動作するソフトウェアが必要になります。

 

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